海外進出率の現状
株式会社帝国データバンクの調査によると、日本企業の海外進出率は18.3%にとどまり、これはコロナ禍前の2019年に比べて6ポイントの減少を示しています。この調査は全国の企業25,111社を対象に実施され、有効回答が10,427社(回答率41.5%)に達しました。特に1,000人以上の従業員を抱える大企業においてはおよそ59%が海外進出しているとのこと。これは企業の規模によって海外ビジネスに対する関与の程度が異なることを示唆しています。
海外進出先の変化
現在、日本企業が重視している海外進出先は依然として中国ですが、その重要度は以前より下がっています。生産拠点として最も選ばれているのは「中国」で16.2%、次いで「ベトナム」(7.9%)や「タイ」(5.3%)が続きます。販売拠点についても「中国」が12.3%でトップですが、こちらも重要度は薄れてきています。この傾向は、地政学的リスクやコロナ禍の影響により、企業の戦略が変わりつつあることを反映しています。
新興国へのシフト
日本企業は今後の進出先としてベトナムやインド、インドネシアといった新興アジア市場に期待を寄せています。例えば、生産拠点としては「ベトナム」が最も重視され、販売拠点ではアメリカが依然として注目されています。このような動きは「チャイナ・プラスワン」と呼ばれ、中国一極集中からの脱却を図る企業戦略を反映しています。具体的には、ベトナムはその高いGDP成長率と安定したビジネス環境から、多くの企業からの注目を集めています。
米国の関税政策の影響
米国による関税交渉の結果は日本企業にも影響を与えており、調査によると13.5%の企業は「非常に大きな影響がある」と考えています。特にアメリカ市場への依存度が高い企業においては、戦略の見直しが迫られる場面が多く、場合によっては撤退する必要も出てくるという声もあります。
国内市場の縮小と進出支援の必要性
国内市場の縮小や少子高齢化といった構造的な課題に直面している中で、日本経済の持続的な発展には新興市場への進出支援が不可欠です。企業が海外展開をスムーズに行うためには、政府・自治体・公的機関による支援が求められることは明らかです。特に中小企業に向けた支援策の強化が重要です。また、地政学的リスクに対する情報提供や外国政府機関への働きかけなども行うべきです。
まとめ
企業の海外進出が低下傾向にある一方で、新たなアジア市場への期待が高まっていることが分かりました。政府の支援によって、企業が変化し続ける国際環境に適応できるようになることが、今後の経済成長において鍵となるでしょう。