難病者の新しい働き方を提案する白書の発行
東京都渋谷区に拠点を置くNPO法人両育わーるどが、難病者の社会参加を考える研究会を通じて、「難病者の社会参加白書2025 ~RDワーカーの可能性~」を発行しました。本白書では、難病を抱えつつも柔軟に働くことができる新しい働き手の概念「RDワーカー」を提唱しています。これにより、難病者が自らの個性を存分に活かしながら働ける社会の実現を目指しています。
背景:変わりゆく働き方の潮流
近年、特にコロナ禍の影響を受けて、多様な働き方が普及しています。リモートワークやフレキシブルな就労スタイルが一般化する中、難病を抱える方たちも新たな働き方を模索しています。特に、難病や希少疾患をもつ人々の就労環境は依然として厳しい状況にあり、社会的参加の機会が限られています。そこで、「RDワーカー」という新たな概念を通じて、難病者が持つ社会的役割や価値を再定義しようとする本白書が策定されました。
白書の概要
本白書は、244ページにわたる詳細な内容で構成され、4050部が発行されました。特に注目すべきは、巻頭特集で提案された「RDワーカー」という名称です。これにより、難病者が働く際の症状の変動に応じた三つの働き方の分類(ゆるゆる、そこそこ、せかせか)が示されています。これにより、柔軟な働き方を持つ難病者の多様性を際立たせ、労働人口の減少に対する新たな解決策を提供しようとしています。
また、難病者や企業、地方自治体、地方議員を対象に独自の調査を実施し、それぞれの現状や課題、社会参加の可能性を分析しています。この調査から得られた多様な視点を通じて、難病者が働ける環境づくりに向けた提言が行われています。
社会的理解を深めるエピソード
本白書には、難病を抱える当事者のエピソードも13編収録されています。これにより、各々の多様な働き方や生き様が紹介され、支援者や研究者、当事者自身によるコラムも掲載されています。これらの声を通じて、難病者がいかに社会に貢献できるか、また、社会の中でどのように生きているのかを理解してもらうための深いメッセージが込められています。
発行と配布
本白書は、団体の公式ホームページにてPDF版が公開されています。印刷版については、全国3,500か所に、約3,700部が送付されました。この取り組みには、クラウドファンディングによって集められた426万円や企業からの助成金が寄与し、制作や配布作業はプロボノなどの多くの支援者によって行われました。
今後の展望
「RDワーカーの可能性」をテーマにした今回の白書を通じて、難病者の雇用に関する社会的理解が広がることを期待しています。企業や自治体と連携し、合理的配慮のある職場環境や雇用制度の改善を進め、多様な働き方を実現する社会の実現に向けて取り組んでいく計画です。
団体のビジョン
両育わーるどは、福祉の価値を互いに学ぶことに重きを置き、障害者や難病者が望む通りに生きられる社会の実現を目指しています。相互理解を深める事業や、就労支援に力を入れながら、障害者や難病者の可能性を最大限に引き出すための活動を続けています。
お問い合わせ
NPO法人 両育わーるど/難病者の社会参加を考える研究会 Tel: 0120-XXXX-XXXX Email:
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