第6回「NOSTER & Science Microbiome Prize」受賞者発表
2025年8月28日、NOSTER株式会社が協賛する「NOSTER & Science Microbiome Prize」の受賞者が発表されました。この賞は、世界中の若手マイクロバイオーム研究者の支援を目的とした奨励賞で、今回で第6回目を迎えます。受賞者はスタンフォード大学のDjenet Bousbaine博士がグランプリ、Ayele Denboba博士とMohammad Arifuzzaman博士が入賞に輝きました。
賞の目的と背景
この賞は、腸内細菌を含む微生物叢の研究の進展に貢献する若手科学者を応援し、彼らの研究を通じて人々の健康に寄与することを目的としています。NOSTERは2020年にこの賞を設立し、日本企業が協賛した初めてのものとして注目されています。
受賞者の業績
Djenet Bousbaine博士は、宿主とともに共生する微生物の免疫反応の違いに注目し、特に皮膚に多数存在するStaphylococcus epidermidisを使用して研究を行いました。彼の研究により、「Aap」と呼ばれるタンパク質が免疫反応の引き金になることが明らかになり、これを利用した新しいワクチン接種法、いわゆる“貼るワクチン”の技術が注目されています。これは、従来の注射ではなく、皮膚に微生物を貼り付けることで全身の免疫反応を活性化する可能性を示唆しています。
ファイナリストの一人、Ayele Denboba博士は、父親の腸内細菌の乱れが将来の子どもに及ぼす影響を研究し、腸内細菌叢と生殖細胞の関連を探ることで、新たな健康指標を示しました。
もう一人のファイナリストであるMohammad Arifuzzaman博士は、食物繊維の摂取が腸内細菌の代謝物に与える影響を研究し、個別化栄養や新たな治療法の可能性を模索しています。
素晴らしい成果の共有
今回の受賞者たちの成果は、高く評価され、彼らのエッセイは米国科学振興協会の発行するScience誌に掲載されます。受賞者には賞金25,000ドルが贈呈され、受賞式は2025年10月10日に京都で開催される予定です。
研究の未来
腸内細菌研究は新たな解析技術の登場や技術革新により急速に進化しています。これにより、多くの病気と腸内細菌の関連が明らかになりつつあり、将来的には腸内細菌やその代謝物を利用した新たな治療法の開発が期待されています。NOSTERは今後も若手科学者を支援し、Microbiome研究をより発展させるための取り組みを続けていきます。次回の賞は2026年の募集が行われる予定です。
会社概要
最後に、NOSTER株式会社について少しご紹介します。同社は微生物による医薬品や機能性食品の研究開発を行い、京都府向日市に本社を置いています。今後もその研究成果に注目が集まることでしょう。