KAISO BANKの技術開発に関する報告
KAISO BANKは、広域なブルーカーボン生態系を創出するための基礎技術開発を成功裏に達成しました。2022年12月、グリーンイノベーション基金事業に選ばれたこのプロジェクトは、全国の5つの漁港で実証実験を実施し、持続可能な海藻育成技術の確立を目指しています。
基礎技術の確立
KAISO BANKでは、海藻供給システムの一環として、栄養塩を溶出し、強度10~18N/mm2を持つ基盤ブロックや、30g以下の軽量化された海藻移植用カートリッジを開発しました。これにより、海藻の育成から増殖、移植、さらには計測に至るまでの一連の技術が実現し、藻場の保全および回復を目指していきます。
海藻の育成と移植技術
KAISO BANKは、8種の海藻を利用し、年間10,000枚以上の海藻カートリッジを量産することに成功しました。北海道から九州の漁港で設置した種苗着生施設では、在来種だけでなく南方系種や冷凍保存された種苗も生産可能です。これにより、安定した海藻供給体制が整いました。
また、中間育成手法も導入され、年間4,600枚超の海藻が育成されています。この成果は、様々な海域の特性に対応したものであり、海藻の成長を促進する取り組みが注目されています。
増加を促進する基盤ブロックの開発
KAISO BANKは、海藻の着脱が容易で、生育阻害要因に適応した基盤ブロックの開発にも成功しました。これにより、280基以上のブロックを用いて核藻場の造成が本格的に開始されました。海藻の成長を助ける栄養塩の溶出が可能なブロックは、漁業者にも使いやすいデザインが考慮されています。
CO2排出量削減を目指した計測技術
さらに、KAISO BANKは藻場の広域モニタリング技術も開発しました。従来の方法に比べ、CO2排出量を約45%削減し、ドローンやレーザー機器を用いた新しい測定手法で、一日で8ha以上の藻場分布が効率的に把握できることが実証されました。
未来への展望
KAISO BANKの代表、伊藤敏朗氏は、「地域の海と人とのつながりを再構築することが目標であり、研究開発から社会実装に向けて着実に進めています」とコメントしています。今後、地域の漁業者や自治体と連携し、海藻バンクの効果を科学的に検証しつつ、自社の技術を普及させていく意向を示しています。
また、海業や環境再生といった分野との連携を強化し、地域経済の循環モデルを構築するため、産・学・官が協力する姿勢を強調しています。
KAISO BANKの活動は、持続可能な社会の実現に向けた新たな海洋産業モデルを提示し、環境保護と経済活性化を両立させる試みに貢献しています。詳細な情報は、KAISO BANKの公式ウェブサイトやSNSを通じて確認することができます。今後の発展が楽しみです。