東急不動産、リゾート事業の生物多様性への新たな挑戦を発表
東急不動産ホールディングス株式会社は、環境省が呼びかける「ネイチャーポジティブ宣言」に参加し、リゾート事業において生物多様性の取り組みをさらに推進することを発表しました。これにより、環境意識の高い企業としての姿勢を一層強固にしていく方針です。
環境経営の重要性
同社は「長期ビジョン」と「中期経営計画 2025」に基づき、環境経営を企業の全方針として推進しています。具体的には、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」を重視した取り組みを通じて新たな事業機会の創出を目指しています。この中でも生物多様性は、企業活動において自然に依存する側面が多いため、特に重要視されています。
2011年には「生物多様性方針」を策定し、早くから自然との共生を実現するための取り組みを積極的に進めています。2023年には国内不動産業界で初となる「TNFDレポート」を発行し、自社の事業における自然資本のリスクや機会を明確化しました。
ネイチャーポジティブ宣言の具体的な取り組み
今回発表された「ネイチャーポジティブ宣言」は、東急不動産ウェルネス事業ユニットと東急リゾーツ&ステイとにより実施されます。主な内容は以下の通りです。
1.
生態系の保全: リゾート施設において地域の生態系や希少種の保護、外来種の駆除、生態系に配慮した土地利用を推進します。
2.
地域資源の活用: 地元の食材を用いたメニュー提供や地域循環の促進により、地域社会との連携を強化し、持続可能なリゾートづくりを進めていきます。
3.
環境に優しい運営: プラスチックの削減を含む環境配慮に基づいた運営を行い、お客様に自然環境への貢献を提供します。
4.
自然体験の提供: 生き物観察イベントや自然に親しむ活動を通じて、お客様の環境意識を高める工夫を行います。
蓼科での取り組み
特に注目すべきは、東急リゾートタウン蓼科での取り組みです。ここでは環境省が認定する「自然共生サイト」に登録され、幅広い生物多様性を守るために森林管理や生物モニタリング調査が行われています。2023年時点で1,699種の動植物が確認され、32種類の希少種も記録されています。
定量化手法の検討
リゾート施設の事業運営には、MS&ADインターリスク総研株式会社と地域環境計画が共同で生物多様性の定量化手法を検討しています。これにより、事業の生物多様性へのインパクトを測定し、具体的なアクションプランを策定していくことが目指されています。
環境経営の未来
東急不動産では「GROUP VISION 2030」を掲げ、環境経営とデジタルトランスフォーメーションを進めています。2030年に向け、再生可能エネルギーの拡大や脱炭素社会の実現に向けた活動を強化しており、自社の施設においては再生可能エネルギー100%の切り替えを完了しています。
このように、東急不動産ホールディングスは、環境に優しいリゾート事業を展開することで、地域社会と自然との関係を深め、持続可能な未来に向けた実現を目指しています。私たちもその動きを注目し続けていきたいと思います。