水問題の緊急性:国際調査が映し出す現状と課題
BSI(英国規格協会)とWaterwiseが行った最新の調査は、水問題に対する国際的な深刻さを浮き彫りにしています。この調査によると、オーストラリア、中国、インド、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダの9ヵ国で、水セキュリティに進展が見られず、特に中国、インド、アメリカでは深刻な課題が存在しています。過去12か月間で31ヵ国において水セキュリティの改善は確認されず、多くの国で国民の理解と対応状況に乖離があるとされています。
調査の結果
水問題に関するレポート「変化への渇望」によると、今年の調査で目立つ点は、約30%の調査対象国で2023年よりも水が確保しづらくなっているということです。また、44%の国で状況に変化がないとされています。さらに、41ヵ国中たった9ヵ国で評価が改善され、スウェーデンとスイスが挙げられます。一方でスペインとトルコでは水不足が深刻化しており、2024年にはさらに問題が悪化する可能性が指摘されています。
調査では、国民の水セキュリティに対する認識も深刻です。全体で回答者の60%が水セキュリティを重要な課題と認識しているにもかかわらず、実際の対応には乏しいことが明らかになりました。また、政治家が水セキュリティに関して定期的に言及するとの回答はわずか15%にとどまっています。
水利用の現状と未来
世界的な水の消費量は年々増加しています。1900年から2024年の間に水使用量は年間約3兆5,000億立法メートルも増えており、気候変動の影響により、これがさらに悪化する見込みです。調査では、年間で水需要が約1%増加するとの予測が示されています。これを基にした計算では、毎秒1,268立法メートル水が必要になるとも言われています。
国別のスコア
2024年の水セキュリティ指標では、中国、インド、米国の3国は特に厳しい状況にありますが、解決策に関しては進展が限られているとのことです。同様にスコアが上昇した国も多い中、特にスペインでは5ポイントの悪化が確認されました。この背景には、淡水供給の減少や水の価格下落が要因として挙げられます。
一方で、半数以上の人々が水資源の無駄遣いを減らし、水セキュリティを促進するための行動を起こす意義を感じています。特に73%が水使用量ラベルの導入を支持し、68%が水効率を考慮した商品にお金を使いたいと述べています。
議論の必要性
BSIのCEO、スーザン・テイラー・マーチン氏は、水セキュリティの進展にはまだ多くの課題が残っているとし、気候変動や持続可能性の観点から水問題を再考する必要があると強調しています。個人や組織が協力して、けっして簡単ではないが、持続可能な未来を描くためのアクションを促すことが急務です。
水効率ラベルの導入や消費者の選択肢の改善は、その手段の一つにすぎません。
また、WaterwiseのCEOであるニッキー・ラッセル氏は、地元の水を賢く使うことが解決策の非常に重要な要素だと述べています。
最後に
調査の結果から、我々は水問題に対する理解が高まることと、政治やメディアにおける認識を深めることが必要であることを学びました。特に、英国人と日本人が自国の水セキュリティに自信を持たない背景には、政治やメディアの関心不足があると考えられます。
BSIは本レポートを通じて、気候変動に関する議論に水セキュリティを取り入れる重要性を訴え、消費者が正しい選択をするための支援を促進しています。