2023年10月、野村不動産株式会社が所有する溜池山王ビルが木材利用推進コンクールにおいて優良施設部門の『内閣総理大臣賞』を受賞し、さらにみなとモデル二酸化炭素固定認証制度の『最優秀賞』を獲得しました。このビルは、特に脱炭素社会の実現に向けた取り組みが評価された事例として注目されています。
このビルは、清水建設株式会社と共同開発した木質建材と鉄骨を合理的に組み合わせ、高い耐震性と耐火性をっ備えた無柱空間を実現しています。都心での高層木造建築に適した特徴的なデザインは、オフィス業務を行う人々にとっても心地よい空間を提供します。
受賞の背景
最近の気候変動への対策が急務となる中、木材利用の促進が業界で求められています。特に、木材を活用することで建設時の温室効果ガスの削減やカーボンニュートラルへの寄与が期待されており、こうした取り組みが歓待される背景には、持続可能な森林資源の循環利用の促進という課題が立ちはだかっています。
溜池山王ビルは、木質ハイブリッド技術により特徴ある外観と高い機能性を両立させています。その結果、開放的な無柱木質空間が確保され、21メートル×18メートルの広さを実現。また、木材の利用によって、ワーカーの知的生産性を向上させることにも寄与しています。
木質化の拡大に向けた取り組み
さらに当社は、建物の木質化を拡大するために日鉄エンジニアリングと共に『木鋼ハイブリッド梁』を開発しました。この梁は、木質材料と鋼材を一体化したもので、国土交通大臣認定の2時間耐火構造を取得しており、今後は非住宅建築物にも積極的に採用していく計画です。
この梁により、長さ1メートルあたり99.7キログラムもの二酸素を固定することが可能で、建設物の温室効果ガスの削減に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与します。また、H形鋼の耐火被覆材を木質材料で置き換えることができるため、温かみのある、居心地の良い空間を実現しています。
今後の展望
野村不動産は今後、スギ材やヒノキ材、さらにはCLT材なども使用し、木材利用の幅を広げていく考えです。こうした取り組みは、持続可能な建築を推進するための鍵となるでしょう。
最後に、この一連の受賞は、野村不動産が玉石混交のなかで確かな成果を上げていることを示しています。未来に向けての持続可能な技術の進化とともに、これからの活動にも大いに期待したいところです。