OECD DFFTエキスパートワークショップでの講演
2025年6月16日、カナダ・オタワで経済協力開発機構(OECD)によるDFFTエキスパートワークショップが開催されました。このイベントには、株式会社Acompanyの執行役員である竹之内隆夫氏が日本代表として出席し、機密コンピューティングに関する講演を行いました。
このワークショップは、デジタル庁とカナダ政府の共催で行われ、DFFT(Data Free Flow with Trust)を実現するための国際政策がテーマとなり、特にプライバシー保護技術(PETs)の活用が討議されました。
DFFTとは?
DFFTは、プライバシーやセキュリティ、知的財産権を守りつつ、国境を越えたデータ流通を促進するためのコンセプトです。この理念は、安倍晋三元首相によって2019年に提唱され、2023年のG7サミットで具体化へ向けた合意が図られました。このような背景の中、ワークショップでは、PETsの重要性とその活用方法について議論が進められました。
竹之内氏は、「PETsによる信頼の構築」と題し、特にTEE(Trusted Execution Environment)を用いた機密コンピューティングのユースケースを詳しく説明しました。PETsは、暗黙の信頼ではなく、明示的な信頼を技術的に保証する役割を担うと述べ、実際のユースケースを交えて話しました。
機密コンピューティングの重要性
機密コンピューティングは、データを暗号化した状態で計算を行う技術で、データの機密性と実行プログラムの整合性を両立させることができます。この技術は、特に敏感なデータを扱う企業や組織にとって不可欠なものです。国内でも、ガバメントクラウドにおいて必須の技術として採用されているほか、AppleやGoogle、米国防総省などがその実用性を証明しています。
竹之内氏のキャリア
竹之内隆夫氏は2005年に日本電気株式会社(NEC)に入社し、匿名化や秘密計算に関する研究や事業開発を行った後、様々な企業でその専門知識を深化させてきました。現在はAcompanyのVP of Public Affairsとして、デジタル庁のデータセキュリティワーキンググループの委員も務めています。
今回のワークショップでの発表を通じて、竹之内氏は今後もDFFTの議論に貢献し、プライバシー保護技術の普及に尽力していくことを表明しました。
結論
国際的なデータ流通の信頼性を高めるためには、機密コンピューティングのような最新技術が欠かせません。今後もこの分野での技術革新と理念の普及が、一層進んでいくことが期待されます。