水道インフラ課題を解決する最前線
全国各地で発生する大規模な漏水事故は、上水道の水道管が老朽化していることが原因の一つです。現在、日本には法定耐用年数を超えた水道管が約16万キロメートルも存在し、経年管の点検や維持、修繕に多くの費用と人手がかかっていました。このような状況に加え、少子高齢化や人口減少が進む中、今後は料金収入や職員数が減ることが予想され、対応が急務とされています。
天地人コンパス 宇宙水道局とは
その中で、JAXA認定のベンチャー企業・株式会社天地人が提供するのが、宇宙ビッグデータを駆使した「天地人コンパス 宇宙水道局」という漏水リスク管理業務システムです。最近、茨城県庁と契約を結び、実際の運用が始まることになりました。このシステムは、衛星データとAI技術を用いて、漏水リスクが高いエリアを効率的に特定することを目的としており、全国の水道事業体に対してサポートを提供します。
技術の具体的な勤務
「天地人コンパス 宇宙水道局」では、複数の人工衛星から取得したデータを基に、100メートル四方ごとに漏水リスクを評価しています。評価は5段階で行われ、色分けされたマップを用いて直感的にリスクを確認可能です。午前中に確認した情報をその場で管理し、リアルタイムで漏水調査を進めることができるため、迅速な対応が求められる現場でも役立ちます。
特に注目すべきは、このシステムが日常的に漏水地点を登録し、管理できる点です。昨年度の内閣府との実証実験や他自治体のヒアリングを経て、最大で点検費用を65%削減できる可能性があるとされています。
幅広い活用が期待されるAI技術
AIによる漏水リスクの評価技術も素晴らしいものです。管理されたデータは機械学習によって分析され、評価精度が向上するだけでなく、漏水の早期発見にも寄与します。これにより、厚生労働省や国土交通省が実施する「第7回インフラメンテナンス大賞」では、厚生労働大臣賞を受賞するなど、技術力の高さも評価されています。
実証事業の成功
現在、大洗町において実証事業が行われており、漏水による流量が疑われる区域での調査が進められています。このシステムの導入によって、事前に漏水調査を行う範囲を絞り込むことができ、早期発見からの早期修繕が期待されています。こうした取り組みは今後、他の自治体にも広がっていく見込みです。
まとめ
宇宙データを活用した「天地人コンパス 宇宙水道局」は、水道インフラの課題解決に向けた一歩を踏み出しました。水道管の点検や維持がこれまで以上に効率よく行えるようになることで、今後の水道インフラ運営に革命が起こることが期待されています。これにより、日本国内での漏水事故が減少し、水道事業体の運営改善につながることを願っています。
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