メタジェンセラピューティクスとJSRの提携
メタジェンセラピューティクス株式会社(以下、メタジェン)とJSR株式会社が、腸内細菌を活用した「マイクロバイオーム医薬品」の研究開発において重要な提携を結びました。この提携では、腸内細菌叢移植(FMT)を可能にする経口FMT医薬品の治験薬製造施設を設立するための共同研究を進めます。
最新の腸内細菌研究の動き
近年、腸内細菌と人間の健康状態、さらには病気との関連が科学的に解明されてきました。それに伴い、腸内細菌を利用したマイクロバイオーム医薬品が注目され、様々な研究がグローバルに進行中です。メタジェンでは、特に経口投与によるFMT医薬品の開発を進めており、様々な疾患へのアプローチが期待されています。
共同施設設立の詳細
提携の一環として、メタジェンとJSRは、神奈川県川崎市に位置するJSRの次世代ライフサイエンス研究所内に治験薬製造施設を設立します。この施設は、2025年3月に完成予定で、潰瘍性大腸炎に焦点を当てた経口FMT医薬品候補の治験薬製造に向けた準備が進められています。JSRは、製造技術の確立とともに、製造支援を行い、将来的には更なる医薬品開発を進める計画です。
研究者たちの意気込み
メタジェンのCEO、中原拓氏は、腸内細菌叢の乱れががんやパーキンソン病など、幅広い疾患と関連していることから、多様な分野でのマイクロバイオーム創薬への期待を述べています。彼は、提携が国内外での治験開始に向けた重要なステップであると強調しました。
また、JSR BiRDのセンター長、古賀裕久氏も「このプロジェクトに参加することを大変光栄に思います」と述べ、経口FMT医薬品が未来の医療を変革する可能性を秘めていることを強調しています。
腸内細菌叢の重要性
腸内細菌叢は、私たちの腸内に生息する約1,000種、40兆個以上の細菌の集まりです。健康な人の便に含まれるこの腸内細菌を疾患を持つ患者に移植するFMTは、バランスの取れた腸内環境を再構築する治療方法とされています。すでに潰瘍性大腸炎を対象にした治療が進められており、今後は消化器がんへの適用も計画されています。
今後の展望
メタジェンセラピューティクスは、「J-Kinsoバンク」を通じてドナー候補者を募り、山形県鶴岡市において腸内細菌の抽出施設を開設予定です。これにより、FMT医薬品の開発が加速し、患者への提供が早まることが期待されています。
企業概要
- - メタジェンセラピューティクス株式会社: 次世代の医療実現に向け、腸内細菌叢移植の社会実装を目指すベンチャー企業。
公式サイト
- - JSR株式会社: デジタルソリューションやライフサイエンス事業を展開するグローバル企業。
公式サイト
この提携によって、腸内細菌を用いた新たな治療法が登場する日が待ち遠しいですね。期待が高まるその未来に注目です。