音環境に配慮したサステナブルな野外フェス
新型コロナウイルスの影響を受け、さまざまなイベントが見直される中、特に野外フェスの人気が高まりました。その理由は、参加者が密になることを避けられ、広い空間での楽しみ方ができるからです。しかしながら、近隣住民から音に関する苦情が増加したことは大きな課題となっています。
野外フェスにおける音問題
多くの主催者が音量を調整する努力をしていますが、音を下げ過ぎるとアーティストや観客から不満の声が上がることも。また、一方では、音の大きさが周囲の住民に与える影響も無視できないトピックです。これらのジレンマに対して、大阪工業大学の吉田準史教授は新たなアプローチを模索しています。
「オトヂカラプロジェクト」の立ち上げ
2023年、吉田教授はFM802と共同で「オトヂカラプロジェクト」を立ち上げ、万博記念公園での野外フェスにおける音環境の調査研究を開始しました。このプロジェクトでは、参加者が大音量の音を楽しめる一方で、周辺住民の環境も配慮する「適切な音」を探ることが狙いです。
研究内容と実施方法
プロジェクトの具体的な方法として、フェス当日にステージから100メートル離れた地点で、音の大きさや高さを定期的に計測します。また、スピーカーの種類や設置位置、楽曲の特性が音の伝わり方に与える影響も解析します。
音響環境に関するデータを収集しながら、音楽が会場内外にどのように響くかを調査し、適切な音響レベルの上限を見つけることを目的としています。これにより、将来的には多くの野外フェスでの音響設定に役立てられることを期待しています。
研究の出版と発表
この研究は、吉田教授が代表を務める工学部機械工学科の活動の一環であり、研究の成果はWEB連載「研究力」として公開されています。この連載では、他の研究者の活動についても紹介されており、工学のさまざまな分野での先端研究が平易な文で分かりやすく説明されています。
住みやすい社会を築くための工夫や、新たな素材の開発など、多岐にわたるテーマに挑戦する同学の研究室からの情報は、今後の明るい未来へつながる希望を感じさせます。
吉田教授の取り組みを通じて、音と環境の共存が実現できることを期待したいと思います。