学研が新会社Gerokを設立
2025年8月1日、学研グループと京都大学が共に手を携えて新しい挑戦をスタートさせました。その名も「Gerok(ジェロック)」株式会社です。老化関連疾患に立ち向かうことを目指し、共同研究の成果を社会に還元することを目的としたこの新会社は、2025年4月1日に設置された「健康加齢医学講座」に基づいています。この講座は、老化に関する分子機構や老化関連疾患の解明、AI技術を活用した認知機能の評価システムの開発といった先進的な研究を行っています。
日本の急速な高齢化
日本は世界でも最も急速に高齢化が進んでいる国の一つです。年々増加する医療・介護・社会保障の負担は、個人だけでなく家族や地域社会に大きな影響を与えています。特に、認知症や生活習慣病といった老化関連疾患は、今や国全体の喫緊の課題となっています。
学研グループでは、中期経営計画「Gakken2025」を通じて「ウェルネスサービス」を医療福祉分野の重要な戦略と位置づけ、健康寿命を延ばすためのアプローチを強化しています。
メディカル・ケア・サービスの役割
この新会社の設立に寄与するのは、学研のグループ会社であるメディカル・ケア・サービス(MCS)です。MCSは1999年に設立され、認知症ケアに特化したサービスを提供してきました。現在、全国に370以上の介護事業所を運営するほか、医療機関や大学との連携を強化し、早期発見や予防といった研究も推進しています。
特に注目すべきは、京都大学の鍋島陽一教授との共同研究です。両者の知見を融合することで、より効果的な認知症の予防法や治療法の開発を目指します。
Gerokの事業方針
Gerok株式会社は、以下のような方針で事業を展開します。
- - 創薬事業:抗老化遺伝子として知られる「α-Klotho」の機能解析を行い、老化を遅延させるまたは治療する新たな医薬品の開発を目指します。
- - ヘルスケア事業:創薬研究から得た知見を基にした製品開発を行い、2027年度を実用化目標としています。関連法規を遵守しながらも、自由診療との協業も視野に入れています。
- - 長期的展望:加齢関連疾患、特に認知症に焦点を当て、2030年までに実用化することを目指しています。
これらの取り組みを通して、Gerokは持続的な成長と社会的インパクトの拡大を狙っています。加齢関連疾患の研究と事業の循環によって、新たな価値を創造し続ける挑戦が始まったのです。
研究者たちのコメント
Gerokの設立を受け、MCSの山本教雄社長は「認知症ケアの新たな選択肢となることを目指し、鍋島教授との協業を通じて新たな一歩を踏み出したい」と意気込みを語っています。また、鍋島教授も「Productive Agingの実現に向けた確かな道筋を手に入れた」と話し、Gerokの理念に強い期待を寄せています。
結論
Gerok株式会社の設立は、ただのビジネス展開にとどまらず、日本社会全体の健康長寿を意識した新たな挑戦と言えるでしょう。老化関連疾患に対する個別化医療の進展と、AI技術の応用がどのように未来の医療を変革するのか、今後の活動に目が離せません。