未来の海を守るために!MSCジャパンが小学校で持続可能な漁業授業を実施
国際的な非営利団体であるMSC(海洋管理協議会)の日本事務所であるMSCジャパンは、2023年7月11日、目黒区立五本木小学校の5年生を対象に、水産資源の現状やMSC認証に関する特別授業を実施しました。これは、昨年に引き続き2回目の授業となります。
この授業は、ゼロエミッション社会の実現を目指す「ソーシャル・イノベーション・プラットフォーム」であるDO!NUTS TOKYOとの共催によるものです。近年、サンマなど身近な魚の漁獲量が減少しているというニュースをよく耳にするようになりました。目黒区で開催される「目黒のSUNまつり」も、サンマの不漁により提供数が減少するなど、地域にも影響が出ています。このような状況を踏まえ、小学生が持続可能な漁業について学び、自分たちでできることを考えてもらうことを目的として授業が開催されました。
授業では、MSCジャパンのスタッフが、MSC「海のエコラベル」を見たことがあるか児童に質問しました。すると、半数ほどの児童が、お刺身やおにぎり、缶詰、フィッシュバーガー、冷凍食品などにMSCラベルが付いているのを見たことがあると答えました。また、「日本近海でこの10年で漁獲量が激減している魚は何ですか?」というクイズでは、ほとんどの児童が「サンマ」と正解を答え、水産資源の現状に対する関心の高さが伺えました。
さらに、世界の水産資源のうち、獲りすぎの状態にある資源の割合が50年前には約10%だったのに対し、現在は38%に増えていることを説明すると、児童からは驚きの声が上がりました。授業では、日本にもMSC漁業認証を取得した漁業があることや、MSC「海のエコラベル」を広めるためにできることなどが紹介されました。
質疑応答の時間には、「MSCラベルが付いている魚で一番多いのは?」「日本以外でMSCがある国は?」「魚が獲れなくなったのは獲りすぎ以外の理由もある?」「2050年には獲りすぎの割合はどうなる?」など、様々な角度からの質問が飛び出しました。また、「今まで海の環境についてはゴミなどの問題を聞くことが多かったので、違う視点の話が聞けてよかった」という感想もありました。
五本木小学校の5年生は、今回の授業で学んだことを基に、持続可能な漁業や海をテーマに、MSC認証の魚などを描いたポスターを制作します。ポスターは、MSC「海のエコラベル」付き製品を扱う目黒区のイオンスタイル碑文谷で、7月下旬から8月末までの夏休み期間中に掲示される予定です。
MSCジャパンは、今後も、MSC「海のエコラベル」の認知と理解を広めるために、持続可能な社会の担い手となる若年世代への啓発活動を続けていきます。
DO!NUTS TOKYOについて
DO!NUTS TOKYOは、「気候危機」をサステナブルな未来への「チャンス」にすることを目指し、私たちの暮らし=ライフスタイルのあらゆる面で環境・社会へのインパクトを考えながら、もっと心豊かで、心地よい社会を創るためのプラットフォームです。市民・企業・行政・教育・NGOなどが、ゼロエミッション実現のための「課題」と「アイデア」を持ち寄り、ワクワクする解決策をクリエイティブに創造していきます。
MSC(海洋管理協議会)について
MSCは、将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所を置き、世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立され、MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は、2022年度には世界66カ国で20,000品目以上、日本では700品目以上が販売されました。国内では、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、マクドナルドなどで購入できます。
MSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新の科学的根拠に基づき策定されたものです。FAO(国連食糧農業機関)とISEAL(国際社会環境認定表示連合)双方の要求事項を満たした世界で唯一の漁業認証プログラムです。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が最小限に抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、第三者審査機関による審査を通じて実証する必要があります。
MSC「海のエコラベル」について
MSCの厳格な認証規格に適合した持続可能な漁業で獲られた水産物にのみ認められる証が、MSC「海のエコラベル」です。