シンガポール、ベンチャーキャピタルとの提携でディープテック成長を加速
シンガポールが力を入れるディープテックの未来
2023年10月28日、シンガポールの企業庁と経済開発庁(EDB)は、ディープテック分野の成長を促進するための新たな施策を発表しました。これにより、約510億円(4億4,000万シンガポールドル)が追加拠出され、世界的なベンチャーキャピタルとの連携が強化される見込みです。
SWITCH 2024の開幕
同日開催された「シンガポール・ウィーク・オブ・イノベーション・アンド・テクノロジー」(SWITCH 2024)では、シンガポール副首相ヘン・スイキャットが、ハイテクスタートアップのエコシステム強化に向けた取り組みを発表しました。SWITCHは、ディープテックとイノベーション創出に特化したスタートアップイベントであり、10月28日から30日まで、サンズ・エクスポ&コンベンションセンターで開催されています。
スタートアップSGエクイティスキームの拡充
特に注目すべきは、スタートアップSGエクイティスキームへの追加資金の投入です。このスキームは、シンガポール企業庁とEDBが運営し、政府が民間投資家と協力して高い成長の可能性を持つディープテック系スタートアップに投資を行う仕組みです。追加された資金により、より多くのベンチャーキャピタルがシンガポールに誘致されることになります。これにより、ディープテックのスタートアップが、商業化や市場投入に必要な支援を得やすくなると期待されています。
さらには、各スタートアップへの共同投資上限が800万SGD(約9.3億円)から1,200万SGD(約14億円)に引き上げられることで、特に初期段階のディープテックスタートアップにとって、さらなる成長の機会が提供されます。これまでに本スキームにより約3,480億円(30億SGD)が330を超えるスタートアップに投資され、民間資金がそのうち25億SGD(約2,900億円)以上を占めています。
新たなスタートアッププラットフォーム「ステージ・ワン」
さらに、新たな取り組みとして「ステージ・ワン」が発表されました。このプラットフォームは、国内外のテック系スタートアップを一元的に結びつけ、企業やイノベーションパートナーとのコラボレーションを促進することを目的としています。2025年第一四半期には正式に設立され、スタートアップがシンガポールを拠点に事業を展開しやすくなります。このプラットフォームには、成長に必要な能力開発や市場参入、グローバル展開の支援プログラムが用意されており、地元のスタートアップコミュニティとの交流も促される予定です。
国内外のベンチャービルダーとの提携
また、SWITCHの場で発表されたのは、ディープテック系スタートアップの成長を加速するための新しいパートナーシップです。英国を拠点にした気候技術を手がけるFounders Factoryや、シンガポールでAI生成コンテンツに特化した新たなベンチャービルダーKreo Ventureなど、国内外の幅広いベンチャービルダーとの提携が強化されます。
シンガポール企業庁のエミリー・リュウ氏は、「イノベーションはシンガポールの未来を切り開く鍵であり、シンガポールをディープテック系スタートアップの強力な拠点として位置付ける必要があります」と述べています。同時に、世界最高の人材を惹きつけるグローバル志向のエコシステムの構築も急務であると強調しています。
結論
シンガポールの取り組みは、ディープテックの成功に向けた強いメッセージを送っています。政府が積極的に支援を行い、国内外の資金を呼び込むこのイニシアチブは、スタートアップの成長を加速させ、未来のイノベーションの拠点としてシンガポールの地位をさらに確立していくことでしょう。
会社情報
- 会社名
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シンガポール経済開発庁
- 住所
- #28-00 Raffles City Tower, 250 North Bridge Road, Singapore 179101
- 電話番号
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065-6832-6832