ユニセフが警告するパンデミック後の子どもたちの危機的状況

2025年5月14日、フィレンツェから報告されたユニセフの最新分析によると、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックが最も経済的に豊かな国々において、子どもたちの学業成績やメンタルヘルス、身体的健康に深刻な悪影響を及ぼしていることが明らかになりました。この報告は、子どもたちが直面する現在の多くの試練を浮き彫りにしています。

報告書の概要

ユニセフ・イノチェンティ研究所が発表した「レポートカード19」は、2018年と2022年のデータを比較し、OECDおよびEUの43カ国における子どもたちのウェルビーイングの現状を分析しています。本報告によると、オランダとデンマークは、精神的健康や身体的健康の指標で引き続き高い評価を受けています。フランスや他の国々も良好な結果を残しましたが、全体としてパンデミックの影響で子どもたちの学業成績が低下しているという懸念があります。

特に、休校により数か月間学びの機会を失った子どもたちの読解力や数学能力は著しく減少し、彼らが本来到達すべき水準からは7ヶ月から1年程度遅れています。この影響は、特に社会的・経済的に不利な立場にある家庭の子どもたちにおいて深刻です。

メンタルヘルスと身体的健康の低下

さらに、データによると、14カ国では子どもの生活満足度が大幅に低下しており、逆に日本はこの分野で目立った改善を示しました。身体的健康の面でも、多くの国で過体重の割合が増加し続けていることが報告されています。

ユニセフの所長、ボ・ヴィクトル・ニールンドは、「経済的に豊かな国でも、子どもたちは十分な支援を受けていないことが多い」と強調しています。今こそ、各国が子どもたちの教育と健康、ウェルビーイングの向上に向けた取り組みを優先することが求められています。

政策の提案

報告書は、子どものウェルビーイングの低下に対応するために政府や関係者に求める政策として、以下のポイントを挙げています：

1. パンデミックによって取り残された子どもたちへの支援を強化し、特に数学や読み書き、デジタルスキルの習得を助けること。
2. メンタルヘルスの改善を図り、滋養を持った生活を促進する施策の導入。
3. 子どもが栄養価の高い食事を取れるようにし、不健康な食品の販売を制限する。
4. 子どもたちの意見を尊重し、より良い未来のための解決策を一緒に考える。