株式会社3DCが新規投資を実行
株式会社3DCは、2022年に創設されたベンチャー企業で、リチウムイオン電池向けの革新素材、GraphemeMesoSpong(GMS)の開発に取り組んでいます。先日、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(OUVC)による300百万円の新規投資が実行され、この資金はGMSの商用化に向けた量産設備の導入や研究開発に活用される予定です。
画期的な炭素材料GMS
GMSは、東北大学の西原洋知教授によって発明された新しい炭素材料です。この材料はリチウムイオン電池の導電助剤として多くの機能を持ち、同電池の性能向上が期待されています。スマートフォンや自動車に欠かせないリチウムイオン電池は、ユーザーの利便性を向上させるために高出力化が求められています。一方で、高出力を実現しつつ、長寿命化も進める必要がありますが、従来の導電助剤であるカーボンナノチューブでは、これら2つの要件を両立させるのが難しいという課題がありました。
GMSは、このような課題を解決するための画期的な素材です。特異な三次元構造により、優れたイオン伝導性と電子伝導性、さらには化学的・物理的な耐久性を実現し、高出力化と長寿命化の両立を可能にします。また、3DCは製造プロセスの改良を行い、製造コストを下げることにも成功しました。これにより、商用化に向けた量産の体制も整えつつあります。
投資の意義と今後の展望
今回のOUVCからの投資は、3DCにとって大きな意味を持ちます。新たに導入する量産設備によってGMSの商用化が加速されるだけでなく、性能向上のための研究開発や、品質管理体制の強化、人員増強も行われます。OUVCは資金面だけでなく、3DCが目指す電池インフラの実現に向けて多角的な支援を行い、今後の成長を力強く後押ししていきます。
3DCとOUVCの連携
株式会社3DCは、仙台市に本社を置き、炭素材料の開発や販売を行っています。「電池産業における革新」を目指す同社は、OUVCと協力しさらなる機能向上を図り、リチウムイオン電池以外の次世代電池への応用にも期待が寄せられています。
OUVC2号ファンドは、106.5億円の規模を持ち、大阪大学や他の国立大学の研究成果を活かしたベンチャー企業に投資を行っています。これにより、日本国内の技術革新を推進し、持続可能な未来を目指す取り組みが進展しています。
3DCのこれからの活躍から目が離せません。まずはGMSの量産化を成功させ、将来的にはグローバルな電池産業への影響力を高めていくことでしょう。今後の動きに注目が集まります。