医療と経営の質向上を支援する株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は、11月9日に創立20周年記念式典を開催しました。式典では、日本病院会の相澤孝夫会長と全国自治体病院協議会の望月泉会長が記念講演を行い、今後の病院経営の課題と展望について語りました。
GHCは、米スタンフォード大学発祥のコンサルティングファームで、日本市場に参入後、病院経営に「ベンチマーク分析」を導入したことで知られています。ベンチマーク分析とは、他病院の経営指標や診療プロセスを比較し、データを基に経営改善を行う手法です。GHCは、1000病院以上の診療データを活用し、現場の医療従事者と連携することで、実効性のある経営改善を支援してきました。
相澤会長は、今後の病院経営について、日本経済の低成長と少子高齢化による生産年齢人口の減少を踏まえ、「医療提供体制の抜本的な見直しが必須」と指摘しました。具体的には、地域型病院と広域型病院の役割分担を見直し、地域ごとの医療提供体制を構築する必要性を訴えました。また、医療DXの重要性を強調し、スマートフォンと電子カルテの連携や、業務用チャット、RPAの活用などを例に挙げました。
望月会長は、2040年を見据えた新たな地域医療構想について、入院医療だけでなく、外来、在宅医療、介護との連携を含む医療提供体制全体の課題解決を目指すべきだと述べました。一方で、診療報酬改定による病院経営の厳しい現状を訴え、自治体病院の約7割が赤字経営に陥っている現状を説明しました。さらに、八幡平市におけるPHRを活用したオンライン診療の取り組みを紹介し、医療DXの推進による医師不足問題の解消に向けた取り組みを共有しました。
講演会では、GHC顧問や関係者からも祝辞が述べられました。GHCは今後も、医療と経営の質向上を支援し、持続可能な医療提供体制の構築に貢献していくことを表明しました。