愛媛CATVとインテックが花火大会で実施した混雑緩和実証実験
愛媛県松山市を拠点とする株式会社愛媛CATV(以下、愛媛CATV)とTISインテックグループに所属する株式会社インテック(以下、インテック)は、2024年8月3日、三津浜花火大会において混雑緩和を目的とした実証実験を行いました。これは両社の協業の一環として、様々な地域課題の解決に向けた取り組みの一部です。
実証実験の背景
愛媛CATVは、2021年10月からスマートシティの分野においてインテックと協力し、地域の課題解決への取り組みを行っています。昨年度も花火大会での実験を実施し、その成果を基に今年の実証実験が行われました。特に、AIカメラによる混雑状況の検知を進化させ、来場者への適切な情報提供や行動変容を促すことを目的としました。
AIカメラによる混雑状況の可視化
今回の実証実験では、以下のステップで混雑の検知と可視化が行われました:
1.
AIカメラの設置:三津浜商店街内の5か所にAIカメラを配置し、人の流れをカウント。
2.
データ連携:カウントデータは愛媛CATVが保有するデータ基盤に連携され、その情報をWebブラウザでヒートマップ形式に表示。
3.
所要時間予測:混雑データから計算される歩行速度に基づき、駅までの所要時間を予測・通知。
4.
モニターでの表示:会場内や駅までのルートに設置されたモニターで、混雑状況や所要時間をリアルタイムで表示しました。
この取り組みは、観客がどのように行動を変えるかを観察するための重要なポイントでした。具体的には、帰宅時間の選択やルート変更に加え、混雑を避ける影響を評価することが狙いです。
時限付きクーポンの導入
また、観客を対象に時限付きのデジタルクーポンも提供しました。このクーポンは次のように活用されました:
1.
QRコード付きクーポンの提供:専用Webページで利用者が事前に登録し、デジタルクーポンをダウンロード。
2.
クーポンの利用方法:花火大会終了後から各店舗で利用可能で、QRコードを提示して割引を受けました。
3.
クーポン利用を促進:愛媛CATVの通信インフラを利用して、混雑時でもスムーズな読み取りが可能でした。
実証実験の当日の評価
実施日は2024年8月3日、午後7時から11時までの約4時間。観客数が昨年に比べ1.3倍の30万人に達した一方で、駅周辺の混雑は前年よりも緩和されたとのことです。これにより、情報提供やクーポン活用が効果的であることが確認されました。特に、約700名が専用Webページにアクセスし、約30%がクーポンをダウンロードして利用したことが報告されています。
実行委員からのコメント
松山港まつり振興会の山内事務局長は、クーポンが多く使用されたことを評価し、今後の混雑後のデータ収集やカメラ設置の拡充を要望しました。これにより、より安全で安心な地域イベントの実施が期待されます。
今後の展開
愛媛CATVとインテックは、地域の活力を生み出すための努力を続けていく予定です。地域DXの推進を通じて、地域課題の解決や事業者の生産性向上に寄与していきます。今後の実証実験を通じて収集されたデータは、これらの施策の改善に活用される見込みです。
愛媛CATVとインテックは、地域振興として「エリアデータ利活用サービス」も展開しており、IoTデータなどを活用して地域の未来を見据えた新しい価値提供を行っていきます。