企業提携により広がる脳の健康管理の未来
テオリア・テクノロジーズ株式会社(東京・千代田区)と株式会社エム(東京・港区)は、脳画像データを用いた「脳の健康」に関する意識向上と行動変容の促進を目的とした業務提携契約を締結しました。この提携により、脳の健康についての理解を深め、より良いライフスタイルへと導く新しいアプローチが期待されています。
背景と目的
近年の研究によると、認知症に関する脳の変化は、30代や40代から静かに進行していることが分かっています。このため、早期の気づきと適切な対策が一層重要視されるようになっています。テオリアとエムは、これを受けて、脳の健康管理を推進するための協力関係を確立しました。
エム社は、高い脳画像解析技術を持つ企業であり、MRIを使用して脳の健康状態を評価する「MVision health」という全脳解析AIサービスを開発しました。このサービスを通じて、脳の未病サインを確認できる新しい手法を提供しています。一方、テオリアは生活改善や行動変容を促進するサービスを展開しており、企業や自治体向けに「そなえるパッケージ」を展開しています。
提携の具体的な取り組み
1. 脳の健康データプラットフォームの構築
提携のもと、MRI画像を基にした健康データを一つのプラットフォームに統合することを目指します。これにより、受診者は自らの脳の健康に関連する多様な指標を確認できるようになり、健康に対する理解が深まります。このプラットフォームは、テオリアが提供する「THEO ONE」というサービス上でレポートを確認することが可能です。
2. 行動変容を促すフィードバック機能の開発
また、脳の健康だけでなく、日常の生活習慣との関連性を明確にし、受診者が日々の生活を改善するための仕組みを共同で作り上げます。脳の健康状態を把握した上で、具体的な生活習慣の改善提案を行い、行動変容を促していくことが目標です。
企業のビジョン
エムの代表取締役CEOである森進氏は、「脳や体の状態を正確に把握することが健康管理の基盤である」と語り、医療画像解析の価値を訴えました。「生活習慣データとの統合によって、これらの可視化が価値を最大化する」とも述べ、提携による新しい健康管理の実装への期待を示しました。
テオリアの坂田耕平CEOは、認知症という社会課題の解決には一社の力では限界があることを認識しており、様々なステークホルダーとの協力が重要であると強調しました。彼は、エム社が持つ脳画像解析技術とテオリアの行動変容支援が結びつくことで新しいエコシステムを作り出し、「脳を知ることが生活を変える一歩につながる」とのビジョンを示しました。
今後の展望
両社は、この提携を通じて、単なる画像解析に留まらず、脳の健康データを「生活者レベルの改善」に繋げ、早期対応を促すことを目指しています。これにより、30代以上の世代に向けた脳変化の兆候把握と実行可能な改善行動への橋渡しを行うとともに、社会全体の医療・介護費の抑制に貢献する計画です。
テオリアとエムの提携は、脳の健康というテーマにおいて新しい可能性を切り開く一歩となります。今後のさらなる活動に注目が集まります。