神鋼環境ソリューションがDomo導入で水インフラのデジタル化促進
神鋼環境ソリューションが、AIを搭載した全社データ活用プラットフォーム「Domo」を導入し、水処理関連事業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。2024年度の本格導入を前に、同社は現場主導でのデータ活用の進展が見られ、すでに顕著な成果を上げている。
Domo導入の経緯
神鋼環境ソリューションは、1957年に水処理ビジネスに参入し、以来、設計から運転・維持管理に至るまで一貫したサービスを提供してきた。しかし、2017年に導入したBIツールはシステムベンダーに依存しており、社内でのデータ活用が浸透しない状況にあった。
そんな中、2023年には国が推進する官民連携「ウォーターPPP」の制度改正により、水処理事業の委託範囲が拡大。経営効率化とデータ管理の高度化が求められる中で、現場の誰もがデータにアクセスできる環境を整えようと、新たなツール選定が開始された。Domoはその候補として選ばれ、2023年にはPoCを実施。2024年度には本格運用が開始される予定だ。
具体的な成果と施策
1. 運用コストの削減
Domo導入後、下水処理施設の電気使用量が2023年から2024年の上期にかけて5%削減される成果が見られた。これは、オペレーターが関心を持ってデータ活用に取り組めるよう直感的に理解できるダッシュボードを構築した結果だ。
このダッシュボードにより、水処理設備の運転効率を可視化し、リアルタイムで電力や薬品の利用状況を把握できるようになった。過年度比での水量・水質のトレンドを自動表示する機能も導入され、運転条件の変更による効果を即座に確認できるようになった。この施策により、年間約1,000万円のコスト削減を実現し、経営層からの理解も得られた。
2. 環境への貢献
さらに、Domoを利用したデータ分析によって、瀬戸内海での海苔の色落ちやイカナゴの漁獲量減少といった問題の要因が窒素不足であることが明らかになった。水処理施設の性能を正確に把握するため、過去12年分のデータを分析し、窒素除去性能が過剰であることが分かった。これにより、下水道処理の精密なコントロールが可能になり、瀬戸内海の海産物の品質向上に寄与している。
3. 現場主導のDXの実現
Domo.AIの導入によって、現場オペレーターが自ら業務アプリを作成する動きも広がってきた。これにより、現場から発信されるアプリが次々に生まれ、「現場から始まるDX」が実現。ITに不慣れなベテラン社員でも、3,100万件のデータから問題点を導き出すことに成功している。
関係者のコメント
神鋼環境ソリューションの水環境事業部の荻野行洋課長は、Domo.AIを使った現場のオペレーションについて「データ活用により気づきを得て、業務改善が進み、楽しみが広がっている」と語った。また、別の担当部長は、今後のデータ活用の展開に向けた人材育成プログラムの開始を示唆した。
ドーモ株式会社の川崎友和マネージャーは、「Domoを通じて、現場の好奇心を引き出すことが重要であり、今後も社会課題の解決を支援したい」と話し、企業のDX推進に対する期待を寄せている。
結論
神鋼環境ソリューションは、Domoを導入することで水処理業務のデジタル化を加速し、運用コストの削減や環境への貢献を実現している。これからも現場主導のDXが進み、全社展開を目指す彼らの取り組みには大きな期待が寄せられている。