新NISA制度開始後の顧客満足度は過去最高!J.D. パワー調査で明らかになった顧客満足度の向上要因
2024年、新NISA制度がスタートしたことで、個人投資家の資産運用への関心が高まっている中、CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパンが発表した「J.D. パワー 2024年個人資産運用顧客満足度調査℠」の結果では、総合満足度が全ての部門で前年調査を上回り、過去最高を記録したことが明らかになりました。
顧客満足度向上、特に「商品・サービス」と「顧客対応」で顕著な変化
調査結果によると、総合満足度は全ての部門で向上していますが、特に「商品・サービス」ファクターと「顧客対応」ファクターで顕著な改善が見られました。「商品・サービス」ファクターは、全国系銀行、ネット証券、スマホ専業証券、ネット銀行の4部門で10ポイント以上の向上を記録し、「顧客対応(担当者)」ファクターも対面証券と全国系銀行の両方で10ポイント以上の向上を示しました。
一方で、「顧客対応(コールセンター)」ファクターについては、対面証券、全国系銀行、ネット証券の3部門で満足度が低下しました。これは、NISA制度改正や一部のネット証券における手数料無料化などにより、コールセンターへの照会件数が増加したことが原因と考えられます。
老後の生活資金への意識が高まり、運用額増額意向も上昇
新NISA制度開始の影響は、顧客の投資意識にも変化をもたらしているようです。調査では、投資目的として「老後の生活資金」が前年比7ポイント増加し、この傾向は若年層から高齢層まで全ての年代で見られました。さらに、主利用金融機関での運用額増額意向についても、全年代で高まっていることから、新NISA制度の目的である「さらなる家計の安定的な資産形成」へ向けた、個人投資家の意識が変化していることがうかがえます。
銀証連携サービスは顧客ロイヤルティ醸成に有効
グループ会社や提携会社間の銀行口座・証券口座の連携サービス(銀証連携)は、金融機関にとって競合との差別化を図る上で重要な要素となっています。J.D. パワーの調査でも、銀証連携サービスを利用している顧客は、利用していない顧客に比べて満足度が高く、継続意向や推奨意向も高い傾向にあることが確認されました。金融機関にとって、銀証連携は顧客ロイヤルティ醸成において有効な手段の一つと言えるでしょう。
若年層の取り込みは金融機関にとって必須課題
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門の梅澤希一常務執行役員は、若年層の取り込みが金融機関にとって重要なポイントであると指摘しています。新NISA制度による非課税限度枠の拡大と保有期限の無期限化により、若年層はメインとなる金融機関に集中して投資する傾向が見られます。そのため、金融機関は、ライフタイムバリューの観点から、若年層に主利用金融機関として選ばれることの重要性をこれまで以上に認識する必要があります。
2024年個人資産運用顧客満足度ランキング
総合満足度ランキング
対面証券部門
第1位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
第2位:野村證券
第3位:大和証券
全国系銀行部門
第1位:りそな銀行
第2位:三井住友銀行
第3位:三菱UFJ銀行
ネット証券部門
第1位:楽天証券
第2位:松井証券
第3位:SBI証券
スマホ専業証券部門
第1位:大和コネクト証券
第2位:PayPay証券
第3位:LINE証券
ネット銀行部門
第1位:住信SBIネット銀行
第2位:ソニー銀行
第3位:auじぶん銀行
J.D. パワー 2024年個人資産運用顧客満足度調査は、顧客満足度向上に向けた金融機関の取り組みや、顧客の投資意識の変化を理解する上で重要な指標となるでしょう。今後、金融機関は、顧客満足度向上のため、新たなサービスや商品開発、顧客対応の改善など、より積極的な取り組みを進めていくことが求められます。