水の流れが深発地震とプレート変形を制御
2026年8月12日、国立大学法人岡山大学は、沈み込むプレート内での水の動きが深発地震やプレートの大きな変形に関与していることを発表しました。この発見は、同大学の石井貴之准教授を中心に、中国の研究者たちと共同で行われた研究の成果です。
研究の背景と目的
深発地震は地球内部で発生する地震であり、これまでその原因は謎に包まれてきました。深さ400〜700 kmのプレート内部での水の挙動を調査することで、これらの地震のメカニズムを解明することが本研究の目的でした。高温高圧の条件下で、プレート内の水の移動がどのように発生するのかを探る実験が行われました。
水の移動メカニズムの発見
研究チームは、プレート内部での水の受け渡しが深発地震にどのように関与するかを実験で明らかにしました。その結果、低温のプレート中心部には水を保持する鉱物が集中し、多くの水を含まない主要鉱物が周囲に存在することが確認されました。逆に、高温の領域では水を蒸発させ、主要鉱物と水分が補給されることで「水の濃度の差」が生じることが分かりました。このような水の分布が、深発地震の発生方位やプレートの停滞現象を説明する鍵となることが示されています。
深部の反応とその影響
さらに、約700 kmの最深部では、水を含む鉱物が急激に海水を放出する「脱水反応」が引き金となって、深発地震が引き起こされる可能性が示唆されました。この発見は、地球内部の水循環の理解を深めるだけでなく、深発地震の発生メカニズムに関する新たな視点を提供します。
研究の重要性
今回の研究成果は、岡山大学の惑星物質研究所の5年間にわたる努力の結晶であり、鉱物間の水の挙動を確認するための手法が開発されました。石井准教授は、「直感的に理解しにくいこのプロセスを明らかにできたことに大きな満足感を持っています。研究にはじっくり煮詰める時間が必要で、その過程が研究の醍醐味でもあります」と述べています。
今後の展望
この研究の成果は、地球科学分野における新しい理解を促進し、深発地震の予測や制御に向けたさらなる研究につながることが期待されます。地球内部の動きのメカニズムに関して新しい知見がもたらされることは、専門家や一般の人々の関心を引くテーマとなるでしょう。
参考文献
- - Jintao Zhu, Renbiao Tao, Lifei Zhang, Takayuki Ishii. Water exchange process and bulk composition regulate slab dynamics and deep earthquakes. Nature Communications. DOI: 10.1038/s41467-026-74842-y
この重要な発見は、より多くの研究と議論の起点となり、地球科学のさらなる発展に寄与することを期待しています。