後継者不在問題
2024-11-22 10:29:11

中小企業の後継者不在問題、2024年は52.1%に低下も鈍化傾向

中小企業の後継者問題の現状



はじめに


中小企業は日本経済や雇用を支える重要な存在でありながら、後継者不足という深刻な課題に直面しています。2024年の後継者不在率は52.1%に達し、調査が始まって以来の最低値を更新したものの、その改善ペースには緩やかさが見受けられます。本記事では、事業承継の現状や今後の動向について詳しく探ります。

事業承継の現状


日本政策金融公庫が実施した調査によると、2024年の後継者が「不在」または「未定」とされた企業は約14.2万社に上り、全国の不在率は52.1%という結果が出ました。これは、2023年に比べ1.8ポイントの減少とはいえ、改善の鈍化が懸念されています。特に、50代・60代の代表者において後継者不在率が悪化しているのが目立ちます。

都道府県別の状況


都道府県別に見ると、三重県は34.1%と4年連続で全国最低水準を達成しました。一方、秋田県は72.3%と最も高い後継者不在率を記録し、この現象は地域経済の活性化に対する障害となっています。また、同族承継の抵抗感が強い地域では、後継者育成が進まない傾向があることも指摘されています。

業種別の傾向


業種別に見ると、全ての業種で後継者不在率が60%を下回るのは初めてのことです。特に製造業では43.8%と、業界内で十分な経験を持つ後継者が多く見られるようになっています。しかし、建設業など一部業種では依然として高い不在率が続いています。業種ごとの後継者問題は、サプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があり、各業界の事業承継の重要性が増しています。

事業承継の新たな傾向


近年、後継者選定において「脱ファミリー化」が進行しており、ベテランの経営者や業界経験者を後継者候補として求める傾向が強まっています。これには、社外からの経営者招致やM&Aの活用が含まれ、従来の親族間承継から社内外の第三者へとシフトしています。2024年には、後継者に業界経験10年以上の人材を選ぶ企業が80%を超え、特に社外からの招聘が増加しています。

今後の展望


しかしながら、後継者不在率の改善が鈍化している現状は警鐘です。企業の約半数が後継者候補を決定する一方、具体的な承継進行に向けての支援が求められています。また、後継者育成ができず、事業承継が中断するケースも増加しており、今後の事業継続に影響を及ぼす懸念があります。特に、高齢による不測の事態への備えや、後継者候補への適切なフォローが求められます。

おわりに


後継者問題は依然として多くの中小企業にとって避けられない課題です。国や地域、業種を超えた取り組みが進められる中、今後もその動向に注視し、実効性のある支援策の必要性が高まっています。事業承継問題への理解を深め、持続可能な企業経営を目指していくことが求められています。


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