不具合解消の新手法
2026-05-20 11:47:00

半導体封止材の不具合を解決する新しい解析サービスの提供開始

半導体封止材の不具合低減に向けた新たな解析アプローチ



株式会社東レリサーチセンター(TRC)とサンユレック株式会社は合同で、エポキシ樹脂の硬化プロセスを分子レベルから全体特性まで解析する新しい手法を開発し、これを基にした分析サービスを開始しました。このサービスは、熱硬化性樹脂の特性調査において、従来の手法の限界を打破することを目的としています。

新しい解析手法の特長


本サービスの特長は、樹脂の硬化過程において発生する反応を多角的に理解できる点です。材料が硬化する際の反応速度や材料特性の変化、さらに半導体チップを保護するため添加されるフィラーと樹脂の間の界面の状態を詳細に捉えることが可能です。これにより、これまで単独で解析されていた要素を相互の関係性としてとらえ、硬化過程全体を一貫して理解することができます。

その結果、半導体封止材に見られる反りやクラックの原因を特定し、材料の設計や製造プロセスの最適化が加速されるでしょう。

熱硬化性樹脂の必要性


熱硬化性樹脂は、半導体封止材、電子部品用接着剤、複合材料、塗料など、耐熱性や機械的特性が求められる様々な製品に使用されています。特に近年のデバイスの小型化・高密度化に伴い、樹脂の硬化時の挙動が品質に大きな影響を与えることが明らかになっています。内部応力の影響で生じる反りや割れは、電子機器の性能や信頼性に直結する重要な課題です。

複合的な解析手法の導入


新たに開発された解析手法は、実際の成形プロセスに似た急速な加熱・冷却条件下での硬化反応を観察することに重点を置いています。これにより、樹脂の硬さを示すガラス転移温度(Tg)やその変化の追跡が可能となります。更に、フィラーとの界面的相互作用を解析することで、材料特性に与える影響を分子レベルで理解することができます。

具体的には、FSC(高速カロリーメトリー)、質量分析法、そして分子動力学シミュレーションを組み合わせたアプローチが本解析手法を支えています。これにより、樹脂とフィラーの界面特性を高精度で評価することができ、より正確な材料設計が実現可能となります。

高い評価を受けた取り組み


本手法の新しさと有用性が評価され、国際学会でも注目を集めています。具体的にはIMAPS Symposium 2025への招待講演やICEP-IAAC 2025でのYoung Award受賞など、学術および産業の両面でその価値が認められています。これらは、本手法が単なる研究成果に留まらず、実用化においても大きな可能性を秘めていることを示しています。

今後の展望


今回の新たな解析サービスは、半導体封止材や電子部品用材料の信頼性向上に向けた第一歩に過ぎません。今後は、フィラーと樹脂の組み合わせを考慮した材料設計の推進や、成形条件の最適化を図り、不具合の発生を低減させる取り組みが予定されています。また、実験とシミュレーションを組み合わせた効率的な材料開発の促進も見込まれています。TRCは引き続き、先進技術を以て社会への貢献を目指し、さらなる材料評価技術の向上に尽力します。

用語解説


  • - ガラス転移温度(Tg): 高分子材料の物性が変わる温度。
  • - FSC(高速カロリーメトリー): 短時間で熱的変化を測定する手法。
  • - MALDI-MS: 大きな分子を質量分析する手法。
  • - TOF-SIMS: 材料表面の組成を分析する手法。
  • - MDシミュレーション: 分子の運動を追跡する計算手法。


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会社情報

会社名
株式会社東レリサーチセンター
住所
東京都中央区日本橋本町一丁目7番2号KDX江戸橋ビル6階
電話番号
03-3245-5633

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