地域女性に寄り添うデジタルスキル向上プログラムの突破口
宮城県南三陸町に拠点を置くNPO法人ウィメンズアイは、地域の女性たちを対象にデジタルスキル向上のための研修プログラム「デジタルカレッジUP」を実施しています。このプログラムは、地域女性が希望する仕事や働き方を実現するために必要なスキルを身につけることを目指しており、特にExcelの中上級スキルの習得に重点を置いています。受講者たちは、オンライン学習や対面講座、個別サポートを受けることで、実践的なデジタルスキルを磨き、日々の業務に役立てることができています。
リサーチ結果に基づくデジタルスキル向上の必要性
このプログラムは、地域女性のデジタルスキルの現状を可視化し、その課題を明確にするための調査から生まれました。2023年に気仙沼市で実施された調査では、18〜49歳の女性の63%がExcel未経験者または初級者であることがわかりました。また、5割以上が自分のPCを持っておらず、テレワーク未経験者は8割に達していました。このような背景から、デジタルスキルを学ぶことができる機会が必要とされている実情が浮かび上がります。
プログラムの内容と実績
デジタルカレッジUPでは、受講者が基礎から中級、上級スキルへとスムーズに移行できるカリキュラムを提供しています。受講者たちは、3ヶ月間の研修を通じて業務効率を高めるショートカット機能やクラウド活用の基礎、報告書作成に役立つExcelの機能など、多岐にわたるスキルを習得しています。特筆すべきは、受講者の76.8%が業務効率を高めるショートカットや自動化機能を「できるようになった」と回答している点です。このスキルは、即戦力としての価値が高く、業務に直結する内容が多いのも特長です。
受講者の約8割は現在就労中であり、スキル向上に加えて自己肯定感も高まるといったエンパワーメントの効果が表れています。加えて、受講者の47%がMOS資格取得を目指すなど、学びの意欲が高まっていることも魅力的な結果です。
課題認識の転換とエンパワーメント
本プログラムに参加した受講者の声の中には、自己肯定感の向上を実感しているものが多く、「知らなかったことを知ることができた」経験が今後の学びや社会参加へのモチベーションになっているとのことです。このような成功体験が、自信を持って新たな挑戦をするきっかけとなることが報告されています。
特に、受講者の一部からは「やりたいと思っていたことに挑戦してみたくなった」という意見や、「子どもとの時間をうまく捻出しながらも修了できたことが自信につながった」という声が寄せられています。これらの変化は、単なるスキル習得に留まらず、地域女性の自らの可能性を再発見させ、未来に向けて前進する力を育むものです。
今後の展望
ウィメンズアイは2025年度に第3期のプログラム実施を予定しており、さらに多様なニーズに応じたカリキュラムの充実を図る考えです。地域女性が自身の能力を活かし、希望する働き方を実現できる環境づくりに向けた取り組みは今後も続いていきます。
本プログラムを通じて、地域の女性たちが「学ぶ」ことの重要性や、それに伴う自己成長を実感しながら、希望を持って未来を切り開く姿を多く見られることを期待しています。
NPO法人ウィメンズアイは、地域女性のエンパワーメントを目指す活動を通じて、コミュニティ全体のデジタルスキル層を底上げし、誰もが学びにアクセスできる環境の実現を目指しています。