未来の宇宙輸送を実現する次世代ロケット開発の進展
将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)は、東京都中央区を拠点に活動するスタートアップ企業であり、宇宙往還を可能にする輸送システムの実現を目指しています。企業のビジョンは、「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を宇宙でも。」というもので、彼らはこの実現に向けた努力を続けています。これに関連して、ISCは液体ロケットエンジンの開発を進めており、その一環として着火・燃焼試験を実施しました。
液体ロケットエンジン試験の概要と成果
2025年4月21日から5月15日、さらに6月23日から7月3日の2回にわたり、液体ロケットエンジンの着火・燃焼試験が行われました。この試験では、エンジンの運転に関わる流量、温度、圧力のデータを取得し、ミッションコントロールシステム「Yamcs」を使用してリアルタイムでモニタリングを行うことに成功しました。ここで得られたデータは、シミュレーションモデルに即時に反映され、試験結果のレビューと今後の試験条件の見直しに役立てられることが実証されました。
Yamcsはクラウド対応のオープンソースミッションコントロールシステムであり、宇宙や衛星運用におけるデータ計測、監視、制御を目的としています。このシステムのおかげで、現場からリアルタイムでデータを確認でき、迅速な意思決定が可能になります。
試験結果により、少なくとも一日に150回の点火器試験や12回のエンジン燃焼試験が行われるメソッドが実証され、アジャイル型開発が実現できることを示しました。これにより、短い期間内に多くのデータを獲得することができ、開発の効率が飛躍的に向上しました。
P4SD:次世代開発プラットフォーム
ISCは、2028年に人工衛星を軌道投入するという目標を掲げており、その達成には開発効率のさらなる向上が欠かせないと考えています。従来のウォーターフォール型開発から脱却し、アジャイル型開発手法を採用するために、独自の研究・開発プラットフォーム「P4SD」を構築しました。このプラットフォームは、開発過程で得られるすべてのデータをクラウド上に集約し、研究や設計、試験結果を一元管理するシステムです。
これにより、開発チーム全員が最新の情報にアクセスでき、どこからでも迅速にデータ分析を行うことが可能になります。ISCでは、これまでもP4SDを向上させるために様々な試験を重ねてきました。また、ドローンを用いた誘導制御や飛行試験も行い、さらなる技術の進化を目指しています。
今後の展望と参加の呼びかけ
ISCは今後も液体ロケットエンジンの試験を続け、試験結果をもとに設計やシミュレーションモデルへのフィードバックを迅速化していきます。また、ドローンのフライトテストなど、多岐にわたる試験を行い、アジャイル開発の基盤を強化します。さらに、宇宙旅行の先行申込を受け付けており、興味のある方の参加を呼びかけています。
次回の試験では、今回の試験結果を反映し、点火・着火シーケンスの改善に向けた取り組みが進められます。ISCは引き続き、未来に向けた宇宙輸送システムの実現に向けた挑戦を続けていく所存です。