dSPACE、新しいレーダーソリューションを発表
dSPACEは、9月21日から26日までオランダのユトレヒトで開催されたEuropean Microwave Week(EuMW)において、運転支援システムのための新たなレーダーターゲットシミュレーター「DARTS ARROW」を発表しました。このデモは、自動車業界において、運転支援システムの安全性と性能を大きく向上させることが期待されています。
DARTS ARROWの特徴
DARTS ARROWは、レーダーベースの運転支援システムに欠かせないEOLテスト(出荷検査)やPTIテスト(定期点検)を行うために設計された、コンパクトで高性能なシミュレーターです。このシステムは、動的なシナリオをシミュレートし、レーダーターゲットの距離、速度、レーダー反射断面積(RCS)を精密に再現します。特筆すべきは、76GHzから81GHzの幅広い周波数範囲に加え、最大5GHzの帯域幅を柔軟にカスタマイズできる点です。最大500メートルの距離において、7センチメートル未満のステップで、±700キロメートル/時までの速度をシミュレーション可能です。
業界のニーズに応える
この新しいレーダーソリューションは、緊急ブレーキや走行車線逸脱警告、車間距離制御アシストなど、安全関連の運転支援システムの検証にとても有効です。管理された環境でのトラフィックシナリオをリアルに再現することで、センサのエラーを早期に発見し、安全クリティカルな支援システムを運用し続けることができます。
EUの安全性方針と業界の反応
最近、EU委員会は、EU道路使用適格性パッケージの改訂を提案しました。これは運転支援システムの定期点検を義務付けるもので、テスト結果による衝突事故の多発を考慮したものです。また、中国の自動車ポータルサイト「懂车帝(Dongchedi)」でも、運転支援システムの定期点検の重要性が強調されています。この背景には、安全性がますます求められる自動車産業のトレンドがあります。
dSPACEの役割と専門知識
dSPACE Japanは、コネクテッドカーや自動運転車両、さらには電気自動車などの開発に必要なシミュレーションや妥当性確認ソリューションを提供する国際企業です。自動車メーカーやサプライヤーのニーズに応じて、実際の試験を行う前にソフトウェアやハードウェアの各コンポーネントをテストするための統合ソリューションを提供しています。dSPACEは、自動車産業だけでなく、航空宇宙や産業オートメーションなど多岐にわたる分野で信頼されている開発パートナーでもあります。
世界で2,800名以上の従業員が、ドイツのパーダーボルンを本社に持ち、母国を含む複数の国に拠点を展開しています。公式ウェブサイトである
www.dspace.comにアクセスすれば、さらに詳しい情報が得られます。dSPACEは、業界の進化に貢献する重要な役割を果たし続けています。
今後の展望
今後、DARTS ARROWの日本でのデモも予定されており、具体的には2025年9月26日に開催される「dSPACE Japan User Conference 2025」にてその実力を披露します。このように、dSPACEの取り組みは、技術革新を通じて運転支援システムの進化を支える重要な要素となっています。