無線ひずみ検知システム「ST-COMM」の概要
構造物や社会インフラの監視が簡単かつ低コストに可能になる無線ひずみ検知システム「ST-COMM」が開発されました。老朽化が進む日本の橋梁や道路、トンネルの数は膨大です。特に、建設年度が分かっている70万の橋梁のうち、67%が今後15年内に50年以上が経過する見込みです。2030年にはインフラ点検・診断システムの世界市場が30兆円に達すると言われており、ST-COMMを利用することで、これらの構造物を長期間かつ経済的に監視する道が拓かれます。
ST-COMMの特長
ST-COMMは、従来の技術に比べて圧倒的なコスト削減を実現しています。以下にその特長を述べます:
1. コストの大幅削減
従来の方式では高額な測定器や労力が必要でしたが、ST-COMMではこれらを必要としません。費用は10分の1以下に抑えられます。
2. 遠隔でのデータ確認
現地での測定が不要で、無線通信を介してデータを確認できます。インターネットさえあれば、スマートフォンやPCからアクセス可能です。
3. 省電力設計
単三電池で数年運用できる低消費電力を実現。電源設備がない場所でも動作します。
4. 早期検知能力
ひび割れなどの目に見える損傷前に、変形を捉えることができる技術を搭載しています。
5. 多様な素材に対応
コンクリートや鉄など、さまざまな素材の構造物において測定が可能です。将来的にはAI活用も計画されています。
評価キットの内容
ST-COMMの評価キットには以下の仕様があります:
- - 1台で4本のひずみゲージ接続可能
- - 屋外でも使用可能
- - 1年間のクラウドサービス利用が含まれます
- - 大小は8016056mm、重さは400g以下です
- - 遠隔データ確認用のWebアプリも付属
評価キットは加賀電子株式会社及びソフトバンクコマース&サービス株式会社から販売予定で、2018年夏から提供が開始される見込みです。
利用のシーン
ST-COMMはさまざまな現場での応用が期待されています。以下のような場面での利用が想定されています:
- - 建設後数年経過した道路やトンネルの監視
- - 工事現場での仮設構造物の異常検知
- - 目視確認が難しい橋梁の変形把握
- - 大規模な配線が必要な設計研究におけるコスト削減
CACH株式会社の背景
CACH株式会社は2016年に設立され、独自のIoTデバイスの開発を手がけています。代表の鈴木良昌氏は、大手二輪自動車メーカーでの経験を生かし、ひずみゲージをより安価に活用できる技術を求め開発に着手しました。現在、複数の業界で試作機が納入されています。未来の社会課題の解決に寄与することを目指しています。
詳細はCACH株式会社の公式サイトを訪れてみてください。
CACH株式会社のWebサイト