はじめに
近年、看護師の職場におけるハラスメントが顕著になっています。専門職である看護師は、患者やその家族、同僚、上司などと密接に関わり合う中で、さまざまな形のハラスメントに直面するリスクがある職業です。特に、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメントといった問題が特に深刻です。昨今の調査では、98%に近い看護師が職場でハラスメントを経験したと回答しており、その実態は想像以上に深刻です。
調査方法と結果
今回の調査は、2024年9月に行われたインターネット調査を基にしています。74名の看護師から得られた回答の中で、96%が「ハラスメントを経験した」と回答していることがわかりました。具体的には、64%が自分自身がハラスメントの被害にあったとし、32%が他者のハラスメントを目撃したと報告しています。
ハラスメントの内容
調査において最も多く挙げられたのは「精神的攻撃」で、これに関して具体的な苦情が寄せられています。一部の看護師は、上司や同僚からの無視や高圧的な態度による精神的苦痛を訴えています。このような状況は業務に支障をきたし、看護師自身のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼしています。精神的攻撃の他には、セクシャルハラスメントや身体的攻撃も報告されており、看護師は重いストレスを抱えながら働く環境に置かれています。
加害者の特定
経験されたハラスメントの加害者については、「上司」が41件と最も多いことが明らかになりました。次いで「先輩」や「患者」という回答も上がっており、看護師が日常的に直面している問題であることが示されています。
職場の対策
驚くべきことに、8.5割以上の看護師が、ハラスメントに対する適切な職場の措置が取られていないと感じています。報告を行っても、実際の対策がほとんど実施されていないという現状は、看護師たちの大きな不満につながっています。報告した看護師の中には、上司による圧力や、自身の退職を考えざるを得ない状況に直面したという声も多く聞かれています。
メンタルヘルスへの影響
ハラスメントが看護師の心身に与える影響は深刻です。「怒りや不安を感じた」という回答が最も多く見られ、後に「精神科に通うようになった」という意見もありました。仕事への意欲が減退し、場合によっては入院が必要になった看護師の声もあり、ハラスメントが日常生活に支障を及ぼしていることがうかがえます。
退職の検討
さらに、調査結果によると4割以上の看護師がハラスメントが原因で「退職した」または「退職を検討した」と答えています。このことは、看護師の離職率が高まっている要因の1つとも捉えられ、職場環境が非常に重要なポイントであることが明らかです。
まとめ
今回の調査を通じて、看護師が職場で直面しているハラスメントの実態とその影響が浮き彫りになりました。96%の看護師がハラスメントを経験しており、その多くは上司や先輩により引き起こされています。職場環境の改善が急務であり、看護師が安心して働ける職場が求められています。引き続き、職場環境の改善に向けての取り組みが必要です。