人事戦略の進化:事業成果に貢献する人事とは?最新の調査結果から見えてきた課題と未来
近年、企業において人材力や組織力は事業の競争優位性を左右する重要な要素として認識されています。経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」では、人事は従来のオペレーション中心から、ビジネスの価値創出をリードする役割へと変革していく必要性が訴えられています。
株式会社リンクアンドモチベーションは、この流れを受けて、2024年8月に「1,000名以上企業」の人事500名、管理職500名を対象に「事業成果創出に向けた人事変革(HRX)に関する調査」を実施しました。
本調査では、人事戦略と事業成果の関係性、人材育成、採用における現状と課題、今後の進むべき方向性について詳しく分析しています。
調査結果から読み解く、人事の課題と未来
調査結果によると、人事戦略と事業成果に繋がりを感じている企業は55.9%と半数を超えました。しかし、明確に繋がりを感じている企業は13.8%にとどまり、44.1%の企業は依然として繋がりを感じられていないという現状が明らかになりました。
この結果から、人材戦略の重要性は認識されているものの、実際の施策が事業成果に結びついている企業は少ないという課題が浮き彫りになりました。
人事の役割変革は進んでいるのか?
現在の企業における人事は、主に「人材管理のエキスパート」としての役割を担っている企業が42.7%と最多でした。しかし、今後求められる役割としては、「事業成果の創出に貢献する戦略パートナー」が30.8%と最多となり、人事はより事業戦略に深く関わる必要性があることが示唆されています。
育成領域:知識獲得から能力向上へ
人材育成においては、現在「知識獲得」に注力している企業が30.5%と最多でしたが、事業成果創出に向けて今後注力したい施策としては「能力向上」が29.0%と最多でした。また、人材育成が事業成果に繋がらない理由として、「育成を実施しても行動が変わらない」と答えた企業が40.6%と最も多く、育成内容と行動のギャップが課題として浮かび上がりました。
採用領域:ポテンシャル重視の時代へ
新卒採用では、オンボーディングにおいて「キャリア意識の醸成」に注力したいという企業が16.3%と増加傾向にあることがわかりました。これは、新卒社員の早期離職を防ぎ、長期的な活躍につなげるための意識改革の重要性を示しています。
一方、中途採用では、「ポテンシャルの高さ」を重視する企業が増加しており、即戦力だけでなく、将来的な成長を見据えた人材採用が求められています。
人事の役割変革に向けた提言
今回の調査結果から、人事の役割変革は依然として課題であり、人材育成と採用において具体的な取り組みが必要であることが明らかになりました。
育成領域:成長実現を支援する
育成領域では、知識獲得だけでなく、個々の能力向上を支援する必要があります。そのためには、従業員の個別ニーズを把握し、スキルアップやキャリアアップを支援するプログラムの導入や、個別指導、コーチングなど、効果的な研修手法の活用が重要となります。
採用領域:長期的な活躍を促す
採用領域では、新卒採用においては、入社後のキャリアビジョンを明確化し、早期のキャリア形成を支援する必要があります。中途採用においては、ポテンシャルを評価し、育成計画を立てることで、企業にとって長期的に貢献できる人材を獲得することが重要です。
まとめ
人事の役割は、単に人材管理を行うだけでなく、事業戦略に貢献するパートナーへと進化を遂げることが求められています。今回の調査結果を踏まえ、各企業は自社の課題を認識し、人材戦略の改革に取り組む必要があります。
株式会社リンクアンドモチベーションについて
株式会社リンクアンドモチベーションは、組織開発、個人開発、マッチング、ベンチャー・インキュベーションなど幅広い事業を展開する企業です。従業員のモチベーション向上や人材育成、組織変革支援を通して、企業の成長と社会貢献に貢献しています。