富士フイルムとJR東日本、トンネル検査を効率化するAIを導入
富士フイルム株式会社と東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) は、新幹線トンネルのひび割れを高精度で自動抽出するAIを実用化しました。この技術は、富士フイルムの社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」に基づいており、JR東日本のトンネル検査に特化して最適化されています。2025年度から、JR東日本の新幹線トンネル検査に全面的に導入される予定で、社内業務の効率化に寄与することが期待されています。
社会インフラの老朽化に応える取り組み
近年、建設から50年以上が経過した橋梁やトンネルの数が急増し、社会インフラの維持管理は重要な課題となっています。富士フイルムは、2018年より独自の画像処理技術とAIを駆使して、「ひびみっけ」を開発しました。このサービスは、橋梁やトンネルのひび割れを自動で抽出し、従来の手動での検査に比べて大幅な効率化を実現しています。
「ひびみっけ」は、これまでに1,600以上の企業や自治体で導入されており、その効果は高く評価されています。手作業で行っていた検査タスクを自動化することで、大量の時間や人手を省くことが可能になりました。
AI技術による効率化の詳細
今回の新幹線トンネル検査用AIは、2021年からJR東日本と共同で開発が進められました。実用化されたこのAIは、従来の検査方法に代わり、ひび割れのデータを迅速に取得します。具体的には、抽出されたひび割れ情報を基に、点検作業の際に改善箇所を事前に特定できるため、夜間の検査時間を約2割短縮する効果が期待されています。
この手法は、単なるデータ処理にとどまらず、定量的なひび割れ検査情報をもたらすことで、JR東日本のトンネルメンテナンスの質を向上させ、維持管理のレベルを高めることに貢献します。
今後の展望と地域への影響
富士フイルムでは、ひび割れ抽出技術をさらに進化させ、今後はコンクリート構造物やダムなど、さまざまなインフラに対しても画像診断サービスを展開していく方針です。これにより、社会課題の解決に繋がるとともに、地域のインフラの状態を良好に保つ役割を果たしていくことを目指しています。
このような最新技術の活用は、今後ますます進化していくと考えられており、持続可能な社会の実現に向けた一助となることでしょう。今後の富士フイルムの取り組みから目が離せません。