COPD患者の過酷な日常生活と精神的負担に関する調査結果

COPD患者の身体的・精神的負担

COPD（慢性閉塞性肺疾患）は進行性の呼吸器疾患であり、日常生活において多くの人々が過酷な状況に直面しています。最近の調査によれば、COPD患者の93.1%が身体的な辛さを感じていることが明らかになりました。調査はサノフィが行い、全国から200名の患者を対象に実施され、年齢層は40代から80代と幅広いものです。

身体的負担の実態

調査結果から、中等症以上のCOPD患者は日常生活の中で息切れや呼吸困難などの身体的負担を強く感じており、その多くが「階段の上り下り」や「歩行」に苦労しています。一方で、軽症の患者でも70.7%が何らかの身体的苦痛を抱えていると回答しており、COPDの影響が軽症から中等症へと拡大する傾向が見られます。

興味深いことに、大多数の患者がこうした身体的負担に対して家族や周囲の人に助けを求めていないという現実があります。中等症以上の患者では、周りのサポートを得ているのはわずか5.6%にとどまり、90%以上が独自の工夫で対処しています。このことは、家族とのコミュニケーション不足や、助けを求める心理的障壁を示しています。

精神的負担と孤立感

調査によると、精神的な負担を感じる患者が中等症以上では87.9%もいることが分かっています。「過去の喫煙への自責の念」や「常に呼吸困難になる不安」が主な要因となっており、精神面でも多くの患者が悩みを抱えています。

調査では、精神的なサポートを求める際に「家族」へ相談できると回答したのは37.3%に過ぎず、主治医への相談は31.4%に留まることが明らかとなっており、相談環境が整っていないことが示唆されます。多くの患者が「周囲に迷惑をかけたくない」という思いから苦しんでいることが非常に深刻です。

症状悪化の認識不足

何らかの症状の悪化を経験した患者も多数存在しました。軽症の61.3%、中等症以上では74.1%が症状の悪化を体験したにも関わらず、「増悪」の言葉やその状態を知らない患者も軽症で57.3%、中等症以上で55.2%に達しました。これは症状の理解不足が治療を妨げている可能性を物語っています。

認知症改善への取り組み

サノフィでは、COPD患者とその家族、医療従事者に向け、情報提供や支援の強化に努めています。また、専門医からは医療従事者が患者とより深い対話を重視し、日常生活や精神的負担についても詳細にヒアリングすることが求められています。また、患者自身が症状の変化に敏感になり、早期に医療機関に相談できる環境づくりが急務です。

患者会としての活動

NP法人のJ-BREATH理事長遠山和子氏は、COPD患者の孤独な闘いを理解し、情報提供や支援を続ける必要性を強調しています。患者の心理的サポートが求められる現状において、周囲の理解を深める活動が重要です。

COPDは慢性的で進行性の疾患であり、呼吸機能の低下が生活の質に影響を及ぼします。その背後には、社会全体での認識不足と患者の孤立感があることが今回の調査で明らかになりました。

今後は、COPDへの理解を深め、患者が安心してサポートを受けられる社会づくりが必要です。医療従事者、患者、家族が手を取り合い、より良い治療環境を整備していくことが、COPD患者の生活の質の向上につながるでしょう。