骨と味覚の関係
2025-02-14 10:51:17

味覚受容体が骨に存在する理由を解明した九州歯科大学の研究

骨に隠された味覚のメカニズムとは?



近年、九州歯科大学の研究グループが、骨内に存在する味覚受容体の新たな機能に着目し、注目すべき発見をしました。具体的には、破骨細胞に存在する味覚受容体TAS1R3が糖を検知し、その受容によって骨の分化と成熟を制御していることが明らかになりました。これにより、これまで謎だった「骨に味覚受容体が存在する意義」が解明されつつあります。

研究の背景



味覚は、生命において極めて重要な役割を果たします。食べ物から栄養素を摂取し、同時に有害な物質を避けるために存在するこの機能は、近年さまざまな組織でも確認されてきました。従来は口腔内にのみ存在すると考えられていた味覚受容体は、意外にも骨や腸、免疫細胞などに広がっていることが分かってきています。特に、骨に含まれる甘味やうま味を感じる受容体であるTAS1R3は、骨の健康において重要な役割を担っているとされています。

発見の詳細



九州歯科大学の松原准教授と古株教授を中心とした研究チームは、破骨細胞に存在するTAS1R3の機能を初めて明らかにしました。研究の結果、破骨細胞前駆細胞内にTAS1R3が見つかり、糖の信号が破骨細胞の分化を促すメカニズムが確認されました。このプロセスにおいて、TAS1R3がホモダイマーを形成し、糖を検知することでp38という分子を活性化すると同時に、破骨細胞の成熟を促進することが判明したのです。

実験を通じて、TAS1R3が存在しない破骨細胞前駆細胞は分化能力が低下し、逆にTAS1R3を豊富に持つ破骨細胞はその能力が向上することも分かりました。これにより、破骨細胞が適切に機能するためにはこの受容体が不可欠であることが示されました。

今後の研究方向



研究グループは今後、骨以外の組織、特に免疫細胞や小腸上皮などにおける味覚受容体の機能解析を進め、全身に味覚受容体が存在する意味を解明していく方針です。特に、骨粗しょう症のリスクが高まる超高齢社会の日本において、骨再生医療への応用が期待されています。

古株教授は、今回の研究成果を産み出した大学院生の吉村さんを称賛し、学際的な共同研究によって多くの先生方の協力を得られたことへの感謝を述べています。味覚受容体が骨内で果たす重要な役割は今後、更なる研究によって解明されていくことでしょう。

まとめ



九州歯科大学の研究は、ただ口腔内にとどまらない味覚受容体の機能を解明し、骨の健康管理に新たな道を示すものとなりました。科学の進歩により、私たちの理解を深め続ける生命現象の奥深さに、引き続き注目していきたいと思います。


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公立大学法人九州歯科大学
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