積水化学のLCAデータ公開と脱炭素への挑戦
積水化学工業株式会社は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、製品のライフサイクルアセスメント(LCA)のデータ提供を開始しました。このLCAデータは、製品が原料調達から廃棄またはリサイクルに至るまでに、どの程度の温室効果ガス(GHG)が排出されるかを示す重要な指標として位置づけられています。特にカーボンフットプリント(CFP)として算定され、製品の環境影響を見える化しています。
カーボンニュートラルを見据えた取り組み
近年、建築物におけるライフサイクルカーボンの削減が重要なテーマとなっており、国では建築BIM(Building Information Modeling)の普及やLCAの義務化に向けた制度検討が進行中です。2050年を見据えたカーボンニュートラルの実現には、業界全体の協力が不可欠であり、積水化学もその一端を担う存在として注目されています。
積水化学独自の「サステナビリティ貢献製品」制度は、環境および社会に対して高い貢献度を持つ製品の開発と市場拡大を図り、持続可能な未来を目指しています。この制度を通じて、企業としての成長と社会貢献の両立を実現しようとしています。
信頼性の向上に向けた取り組み
CFPデータの信頼性を高めるため、積水化学はプロダクト・カテゴリー・ルール(PCR)の策定やCFP認証の取得にも力を入れています。2023年にはプラスチック単管式排水システム「エスロン耐火プラAD継手HG」がCFP宣言製品として登録され、これにより実際の製品の環境性能を顧客により理解しやすい形で提供できるようになりました。
ビジネスの差別化とリスクの機会化
環境・ライフラインカンパニーでは、LCAを適用した製品ライフサイクルにおけるCO2排出量(CFPデータ)の計算を通じて、企業間での競争力を高め、ビジネスにおける差別化を図ることを目指しています。この取り組みによって環境に配慮した製品を市場に提供し、リスクを機会に変えることが出来ると考えています。
今後もサプライチェーンと連携し、原料選択や生産プロセスの改革、使用エネルギーの転換などを進め、お客様の期待に応える低炭素・脱炭素製品の拡充を進めていく方針です。
積水化学の今年の取り組みや製品は、企業の持続可能性に向けた真摯な姿勢を示すものとして、他の業界にも影響を与える可能性が大いにあります。私たちもその成果を見守りつつ、サステナブルな社会の実現を共に目指していきたいものです。