働き方改革5年の実態
2024-07-19 14:10:15

働き方改革5年、労働時間ルールは浸透したのか?連合調査で実態が明らかに

働き方改革5年、労働時間ルールは浸透したのか?連合調査で実態が明らかに



2019年4月に施行された「働き方改革関連法」から5年が経過しました。時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化など、労働時間に関するルールが導入されましたが、実際の労働現場ではどう浸透しているのでしょうか?

日本労働組合総連合会(連合)は、2024年5月に「『働き方改革』(労働時間関係)の定着状況に関する調査2024」を実施しました。15歳以上の正社員・正職員、契約社員・嘱託社員、派遣社員の1,000人を対象とした調査では、労働時間ルールに関する理解度や実際の労働時間管理、年次有給休暇取得状況など、興味深い結果が明らかになりました。

労働時間ルールに関する理解度は依然として課題



調査結果によると、働き方改革関連法で定められた労働時間に関するルールの理解度は、依然として課題があることがわかりました。

時間外労働(残業)の上限規制については、内容も含めて知っている人が37.3%、内容について少し知っている人が31.6%で、合計の理解率は68.9%でした。一方で、内容を知らない人は3割を超えています。
年次有給休暇5日取得の義務化については、内容も含めて知っている人が52.4%、内容について少し知っている人が24.0%で、合計の理解率は76.4%でした。しかし、内容を知らない人は1割以上いることがわかりました。
* 勤務間インターバル制度の導入促進については、内容も含めて知っている人が20.5%、内容について少し知っている人が17.9%で、合計の理解率は38.4%と、他の2つのルールに比べて低い結果となりました。内容を知らない人は4割近くに達しています。

これらの結果から、働き方改革関連法で定められた労働時間に関するルールが、すべての労働者に十分に浸透しているとは言えない状況が浮き彫りになりました。特に、勤務間インターバル制度は、認知度が低く、導入が進んでいないことが課題として挙げられます。

職場での労働時間管理は?



職場では、労働時間がどのように管理されているのでしょうか?調査では、86.6%の人が労働時間(残業時間含む)が管理されていると回答しました。しかし、業種によっては管理されていない割合が高く、特に教育、学習支援業と公務では2割を超えています。

労働時間が管理されている職場では、勤怠管理システム等による自動申告・自己申告が最も多く、次いでタイムレコーダーによる管理が挙げられます。パソコンの使用時間や上司による直接確認など、様々な方法で管理が行われているようです。

残業時間の上限はどの程度?



職場では、残業時間の上限がどのように設定されているのでしょうか?

調査では、36協定が締結されている職場において、残業時間の上限を「1年間」と「1か月」の両方を知っている人は56.0%でした。一方、正確には知らない人は44.0%おり、特に契約・嘱託・派遣社員では、正確に知らない割合が高くなっています。

実際の残業時間は?



実際の残業時間は、1か月平均で17.7時間でした。業種別で見ると、教育、学習支援業では30.4時間と最も長く、運輸業、郵便業、建設業が続きます。

不払い残業の実態



残業代が支払われない「不払い残業(サービス残業)」は、依然として問題となっています。調査では、28.4%の人が不払い残業をしたことがあると回答しました。特に、教育、学習支援業と医療、福祉では、不払い残業の割合が高いことがわかりました。

不払い残業の原因としては、「自分の考えとして残業申請しないから」や「残業申請をしにくい雰囲気があるから」など、様々な理由が挙げられます。

年次有給休暇取得状況



年次有給休暇は、年間でどの程度取得しているのでしょうか?調査では、69.1%の人が未取得の有給休暇があると回答しました。

未取得の理由は、「自分や家族の病気への対応のために予備的に残しておく必要があるから」が最も多く、次いで「仕事が多く休暇を取得する余裕がないから」や「職場の中で休暇を取得しにくい雰囲気があるから」などが挙げられました。

働き方改革の課題



今回の調査結果から、働き方改革関連法の施行後も、労働時間に関するルールが十分に浸透していないことや、残業時間管理、年次有給休暇取得など、依然として課題が残っていることがわかりました。

特に、勤務間インターバル制度や不払い残業の解消など、労働時間管理の徹底と労働者の意識改革が求められます。また、職場環境や企業文化の改善など、多角的な視点からの取り組みが必要となります。

労働時間に関するルールを遵守し、労働者の健康と生活を守るためには、政府、企業、労働者の三者が連携し、働き方改革を継続的に推進していくことが重要です。


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