亀田総合病院と生成AIによる業務効率化への取り組み
千葉県鴨川市に位置する亀田総合病院は、医療法人鉄蕉会のもとで急性期医療を専門に扱い、その質の向上に努めている基幹病院です。最近、同院はUbie株式会社と共に、生成AIを活用した実証実験を実施し、医療現場における業務効率化の可能性を検証しました。
実証実験の目的と背景
本実証実験は、がん登録業務を対象に、手作業による情報収集、整理、入力の負担を軽減することを狙いとしています。がん登録業務は患者の診断や治療内容、経過などのデータを集めるために、多大な時間と労力を要するのが現状です。特に電子カルテ内のデータが断片化しているため、必要な情報にアクセスするための手間が業務負担を増加させていました。
生成AIとの連携プロセス
亀田総合病院では、Ubieが提供する「ユビー生成AI」を通じて、電子カルテデータの自動連携基盤を整備しました。データウェアハウス(DWH)を介して、院内の電子カルテから必要な情報を抽出し、構造化・要約を行いました。このプロセスにより、がん登録に必要な情報が効率的に整理され、医療従事者の業務が大幅に軽減されることが期待されました。
結果と成果
実証実験の結果、対象となる患者の抽出時間が年間約30%も短縮され、これは約100時間、約2週間分の業務時間に相当します。さらに、情報が構造化されたことで、登録作業全体の効率も30%程度向上しました。これにより、医療従事者はより多くの時間を患者ケアや専門的業務に充てることが可能になりました。
今後の展望
今回の実証実験の成果は、がん登録業務だけでなく、様々な医療業務の効率化にも寄与できることが示されています。Ubieは今後もこの知見を活かし、他の医療機関における業務効率化を推進することで、医療従事者の負担を軽減し、より良い医療サービスの実現を目指しています。
亀田総合病院の小川理様は「今回の取り組みを通じて、院内の情報が横断的に活用される第一歩が踏み出せた」とコメント。今後の業務応用の拡大が期待されています。
Ubieの原瀬翔平医師は、生成AI活用の意義を強調し、電子カルテの情報を活用した新たな価値の創出に繋げられるとしています。このような取り組みは医療現場に革命をもたらし、患者へのサービス向上にも大きく貢献することでしょう。
終わりに
亀田総合病院とUbieの連携は、医療現場におけるAI活用の新たな扉を開きました。今後もこのような先進的な取り組みが広がることを期待しつつ、医療従事者が本来の業務に集中できる環境が整備されていくことを願っています。