伝統文化を守る「能登半島地震支援プロジェクト」
「能登半島地震支援プロジェクト-輪島塗がつなぐ物語-」は、摂南大学が主導し、伝統工芸品である輪島塗の復旧を目指す取り組みです。このプロジェクトは、被災地の支援を通じて地域の文化を守り、未来に受け継ぐことを目指しています。
プロジェクトの背景
2022年に発生した能登半島地震は、地域の文化や生活に大きな影響を与えました。特に、輪島塗は地元の人々にとって生活の一部であり、地震によって多くの作品が被害を受けました。摂南大学は、この伝統工芸を支援し、再生させるために、ボランティア活動「能登半島地震支援プロジェクト」を立ち上げました。
この5日間の活動は、特に輪島塗の漆器を洗浄することに焦点を当てました。学生たちは、事前に能登半島地震や輪島塗の意義について学び、実際に被災地を訪れました。
具体的な活動内容
8月23日から27日までの間、学生たちは石川県の能登町を訪れ、被災した家屋から救出された輪島塗の器具を丁寧に洗浄しました。この地は、伝統家屋を利用した民宿「春蘭の里」があり、観光客にも人気のスポットでしたが、地震による被害を受けていました。
学生たちは、各自分担して効率的に作業を進める中で、チームワークを発揮しました。また、輪島塗のお椀や御膳を正しく整えるためには、パズルのような発想力が必要とされ、時には苦戦しながらも275膳もの輪島塗を整理することに成功しました。
未来への橋渡し
この活動を通じて、学生たちは単なるボランティア作業以上の経験を得ました。彼らは、地域の伝統文化を実際に手にしながら、その価値を肌で感じ、地元の人々にも喜びを届けることができたのです。今後、この活動の成果は「輪島塗がつなぐ物語」として冊子にまとめ、広く発信される予定です。この冊子は、能登の魅力と復興の状況を多くの人に伝える重要な役割を果たすでしょう。
地域と学生の架け橋
摂南大学の理工学部住環境デザイン学科に所属する榊愛准教授は、本プロジェクトの意義について次のように語っています。「能登半島地震以降、多くの輪島塗が救出され、新たな持ち主に引き継がれるための整理が必要でした。私たちの活動が、次世代に伝統をつなぐ小さな一歩になることを願っています。」
地元の人々と学生たちが共に作業することで、地域のしっかりとした絆を回復し、専門性の高い伝統工芸が未来につながることを目的としたこのプロジェクト。学生たちには、有意義な経験と共に、地域への愛着と誇りをもたらしたことでしょう。今後の展開が期待されるこの活動に、注目が集まります。