魚沼産コシヒカリから新たに創出される日本酒の未来
新潟県長岡市に拠点を置く株式会社FERMENT8が、魚沼産コシヒカリを使った新しい日本酒の形を提案しています。2024年11月23日、無農薬無化学肥料で栽培したコシヒカリの玄米をそのまま使った「廣新 玄米醸造」と、50%まで磨いた「廣新 純米大吟醸」を発売。これらの日本酒は、農業と酒造りの融合を目指す新時代の農酒文化を代表するものとなるでしょう。
農家の視点から生まれた酒造り
今回の取り組みは、酒米の専用作付けに伴うリスクを軽減し、持続可能な農業を実現したいという思いに根ざしています。コロナ禍において、酒蔵が酒米を買い取れなくなる問題が浮き彫りになりました。このため、安定した需要が見込まれるコシヒカリを活用し、酒蔵がその米を基に酒を造る新しいメソッドを模索しました。
この考え方は、農家が安心して米を作り続けられる環境を整え、地域全体の農業と酒造りの持続可能性を高めることに寄与します。さらに、コシヒカリの特有の旨味を酒造りに活かすことで、これまでにない新しい風味の日本酒が期待されています。
磨かない挑戦「玄米醸造」
近年日本酒業界では、どの程度まで米を磨くかが重要視される傾向がありますが、「廣新」では逆に全く磨かずに玄米そのものから酒を醸造するという挑戦を行います。この革新は、魚沼地域の同世代の農家たちが無農薬・無化学肥料で米作りに邁進していることからも刺激を受けたものです。
米を磨かないことで、その持つ旨味や香りを最大限に引き出し、独自の個性を持つ日本酒を生み出すことを目指します。
2つの個性を持つ日本酒
「廣新 玄米醸造」と「廣新 純米大吟醸」とは、いずれも魚沼産コシヒカリを原料としていながら、アプローチがまったく異なります。
「廣新 玄米醸造」は、米そのものの旨味を味わえる新しい試みで、スモーキーな風味と深い味わいが特徴です。その味わいはまさにウイスキーに通じるもので、これまでの日本酒にはない新しい体験を提供します。
一方で、「廣新 純米大吟醸」は、丁寧に磨き上げたコシヒカリから生み出される華やかな香りとスッキリした口当たりを特徴としており、飲みやすさと透明感を併せ持っています。どちらの酒も、コシヒカリの特性を存分に生かしており、異なる楽しみ方を提案しています。
発売記念試飲会の実施
2024年11月23日には、銀座の東急プラザで試飲会を開催し、多くの来場者に「廣新」を体験していただきました。来場者からは、「玄米醸造の深い味わいが新鮮」との声が寄せられ、さっそく人気を博しました。
オンライン販売とこれからの展望
廣新の新商品は、FERMENT8のオンラインストアで販売しています。
FERMENT8 Online Store
FERMENT8は、未来の日本酒文化を担う活動を続け、100年後も地域に根差した酒蔵とともに文化を守っていくことを目指しています。地域の農業と酒造りが共生する未来に向け、これからも様々な取り組みを続けていくことが期待されます。