フィットネストラッカーとメンタルヘルス
2024-06-28 14:20:52
フィットネストラッカーがうつ病を早期発見?IEEEが提言発表!
フィットネストラッカーで心の健康状態がわかる?IEEEが提言を発表
世界保健機関(WHO)によると、世界中で2億8,000万人がうつに苦しんでいます。そのうち、治療費や受診の手間などの理由で、診断や治療を受けていない人が半数以上にのぼるという深刻な状況です。
そんな中、IEEE(アイ・トリプルイー)が、フィットネストラッカーなどのウェアラブルデバイスが、不安障害やうつ病などの把握に役立つ可能性を提言しました。
IEEEは世界各国の技術専門家が会員として参加し、科学技術の進化に貢献している団体です。今回の提言は、ウェアラブルデバイスから収集されたデータを用いて、メンタルヘルスの状態を早期に把握できる可能性を示唆するものです。
ウェアラブルデバイスでうつ病を早期発見?
IEEEフェローのチェンヤン・ルー氏は、ウェアラブルデバイスが、うつ病や不安障害などの心の健康状態を把握する上で重要な役割を果たす可能性があると主張しています。
ルー氏は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のデータセット「All of Us」に登録されている8,900人以上の情報を用いて、ディープラーニングモデル「WearNet」を開発しました。このモデルは、ウェアラブルデバイスから収集された活動量や心拍数のデータから、うつ病や不安障害の兆候を検出することを目指しています。
WearNetが注目するデータとは?
WearNetは、うつ病や不安障害の検出において、1日当たりの総歩数を最も重要な変数としています。これは、これまでの医学文献の結果とも一致するものです。
他にも、安静時や活動時の消費カロリー、座っている時間なども、重要な変数として考慮されています。
多様なデータが重要!
ルー氏は、WearNetの開発において、大規模で多様なデータセットを活用することの重要性を強調しています。これは、機械学習モデルが特定のデータセットに過剰適合してしまう「過剰適合」を防ぐためです。
様々なタイプの人から収集されたデータを学習することで、モデルの汎化性を高め、より多くの人のうつ病や不安障害を検出できるようになります。
AIがメンタルヘルスの未来を拓く?
WearNetは、Transformerエンコーダーと畳み込みニューラルネットワークを組み合わせたディープラーニングモデルです。このモデルは、複雑な関連性を学習し、予測することで、うつ病や不安障害の兆候を早期に検出することを目指しています。
今後の課題と展望
ルー氏は、プライバシーの保護と倫理的な問題点を踏まえつつ、ウェアラブルデバイスを活用したうつ病や不安障害の検出と介入を可能にするための研究を進めていく必要性を訴えています。
具体的には、WearNetを活用したエンドツーエンドのインフラ構築、前向き臨床研究による検出能力の検証、そして、ウェアラブルデバイスを活用した早期介入システムの開発が今後の課題として挙げられています。
まとめ
IEEEの提言は、フィットネストラッカーなどのウェアラブルデバイスが、うつ病などの心の健康状態を早期に把握する上で重要な役割を果たす可能性を示唆しています。
AI技術の進歩とプライバシーへの配慮を両立させながら、ウェアラブルデバイスがメンタルヘルスの改善に貢献できる未来が期待されます。