初期投資ゼロで持続可能な農業モデルを実現する連携協定
2023年12月25日、JA三井リース(東京都中央区)とJAなめがたしおさい(茨城県行方市)、株式会社バイウィルが連携協定を締結しました。今回の協定は、農業界における環境負荷の低減と経済的負担の軽減を目指し、ヒートポンプを利用した新たな農業経営モデルを模索するものです。
1. 取組の背景と目的
近年、原油価格の上昇と環境意識の向上から、農業現場では燃油コストの削減とCO2削減が急務となっています。特に、重油代は農家にとって大きな負担であり、さらなる経済的圧迫を招いています。
これに対し、ヒートポンプ技術は高いエネルギー効率を誇り、栽培環境を向上させる可能性が高いと評価されています。ところが、その導入には高額な初期費用が必須で、多くの農家にとっては大きな負担となっているのが現状です。
今回の連携協定では、農家が初期コストを負担せずにヒートポンプを導入できる「PPAモデル」と、環境価値を可視化する「J-クレジット」を組み合わせることで、持続的な農業経営の実現を目指しています。
2. 実証実験の概要
実証実験では、JAなめがたしおさいが提供するピーマン栽培ハウスを利用し、PPAモデルを介して高効率なヒートポンプを導入します。本システムによるCO2削減量を計測し、その削減効果を価値化してJ-クレジットとして販売する予定です。このプロジェクトは、締結日から最長3年間にわたって行われます。
3. 各社の役割
- - JA三井リース:実証に向けた支援と、ファイナンス機能の提供を検討
- - JAなめがたしおさい:実証実験の場所提供と、農作業の管理
- - バイウィル:実験全体のスキーム設計、設備導入、データ計測、効果検証
4. 今後の展望
この実証を通じて、「環境貢献型の農業経営モデル」を確立することを目指しています。特に、農家が負担する熱供給サービスの料金を減少させることにより、生産性向上とコスト削減を同時に実現できる枠組みを構築します。事業化フェーズでは、全国各地に展開し、地域の脱炭素活動にも貢献することが期待されています。
これにより、経済的負担を軽減しながら、持続可能な農業の実現を支援していく考えです。農業のさらなる発展を促進し、地域社会全体の環境改善に寄与することをめざします。