富士通とPwC Japanが協業しクラウドサービスの安全性向上を図る取り組み

富士通とPwC Japanの協業について

近年、デジタル技術の進化とともに、クラウドサービスの重要性が高まっています。その中で、富士通株式会社とPwC Japanグループが協業を開始し、新たな取り組みを行うことになりました。本記事では、その内容と背景について詳しくご紹介します。

経済安全保障応答を目的とした協業

富士通とPwC Japanは、富士通の提供するソブリンクラウド「Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy」において、経済安全保障推進法に対応したリファレンスガイドを作成すると発表しました。本ガイドは2025年12月に公開される予定で、特定社会基盤事業者が求められるリスク管理措置の策定に役立てられる見込みです。この協業は、クラウドサービスの信頼性向上と市場浸透を加速させることを目的としています。

重要インフラとそのリスク管理

今回の協業は、経済安全保障推進法に基づく基幹インフラ役務の安定的な提供を確保するための取り組みです。重要なインフラには電力やガス、交通、通信などが含まれ、これらの分野では、特定重要設備の導入や維持管理に関するリスク管理が求められています。しかし、クラウドサービス特有の責任の分界点やサプライチェーン統制の把握は利用者にとって大きな負担となっており、その解決が待たれていました。

リファレンスガイドの内容

新たに作成されるリファレンスガイドでは、富士通のソブリンクラウドへの対応策が分かりやすく整理され、具体的には27項目の構成設備に関するリスク管理措置や14項目に関連する委託先の要求事項などがまとめられます。このガイドによって、クラウド利用者とクラウド事業者との責任を明確にし、リスク管理の実践的な枠組みを提供することが期待されています。

今後の取り組み

今後、両社は特定社会基盤事業者ごとのリスク特性を考慮しつつ、クラウド利用者に適したリスク管理措置の設計を支援する方針です。さらに、セキュリティやデータ管理に関する新たな支援内容の拡大も視野に入れています。これは、重要インフラを担う事業者が安全かつ効率的に業務を運営するために必要不可欠な要素となるでしょう。

両社のコメント

富士通の執行役員専務である古賀一司氏は、「このリファレンスガイドは、クラウド利用者の規制対応の負担を軽減することを目的としており、特定社会基盤事業者のお客様が安全に業務を運営できるよう支援する」とコメントしています。一方、PwC Japanの執行役員でもある綾部泰二氏は、今回の協業が日本の重要インフラ企業にとって、法規制に対応するための良い機会であるとの意義を述べました。