音声技術で認知症診断を革新するSMKの取り組み
SMK株式会社が国立循環器病研究センターと協力し、音声によって認知症の診断を支援するアルゴリズムの開発に成功しました。2022年3月から共同研究を進め、MCI(軽度認知障害)の検知精度および、アルゴリズムの商用化に至るまでの道のりを追います。
MCI検知モデルの達成
今回の研究では、SMKが宮崎県延岡市と兵庫県の通所介護施設から約1,500人の被験者データを収集するという大規模な取り組みが行われました。このデータには、音声情報だけでなく、MCI、抑うつ傾向、疲労度のスクリーニング結果も含まれています。
その結果、高精度なMCI検知モデルを開発し、音声のみを使ったモデルではAUC(Area Under the Roc Curve)が0.81、さらに年齢、性別、教育年数を加えたモデルではAUCが0.89という成果を収めました。これにより、研究者たちは約1,000人の音声データでモデルを構築し、500人分で精度の検証を行い、外的妥当性をしっかりと確保しました。
ビジネス展開と今後の計画
今回開発された日本語のMCI検知モデルは、商用サービスとして本日より販売を開始します。展開される形態は、APIを通じたプラットフォームやデバイスとの連携、アプリケーションとしての提供が想定されています。認知症の前段階であるMCIを早期に発見し、適切な対策を講じることで、心の健康にも寄与できる可能性があります。
さらに、SMKは日本国内に限らず、アジア諸国へも積極的に展開を進め、国際的な社会問題である認知症や抑うつの解決に寄与する姿勢を強調しています。
利用シーンの多様性
このアルゴリズムの活用例としては、以下のようなものが挙げられます。
- - 高齢者向けヘルスケアサービス: 認知機能スクリーニングツールの提供
- - 自治体: 地域住民の認知機能チェックに活用
- - 保険会社: 保険商品に付帯するサービスとして
- - 金融機関: 金融商品の申し込み時における認知機能テスト
このように、幅広い産業での応用が期待されており、認知症の早期発見が可能になることで、各業界における新たなサービスの展開も見込まれます。互いに連携し合い、高齢化社会を支えるために重要な技術となることは間違いありません。
今後の研究方向性
SMKは引き続き国立循環器病研究センターと協力し、MCI以外にも抑うつ傾向や疲労度の検知モデルの開発にも注力していく方針です。さらに研究を進め、より高い検知精度を達成することで、認知機能に悩む方々の支援につなげていくことが目指されています。
失われる記憶を防ぐために、テクノロジーの力を借りて社会課題に挑むSMKの取り組みから目が離せません。