ダイセルと提携、クシナダ機巧が製造業の未来を切り拓く実証試験を開始

ダイセルと共同で製造業に革新をもたらす実証試験

クシナダ機巧株式会社は、このたび株式会社ダイセルおよび株式会社キビテクとの共同研究の成果を基に、製造現場での実証試験を2025年12月から開始します。この取り組みでは、人と機械が融合する新たな点検システムを導入し、製造設備の点検業務の効率化と安全性向上、さらには在宅勤務を可能にすることを目指しています。

共同研究の背景と目的

この共同研究は、2022年から始まり、製造現場での点検業務における「五感点検」の強化と「在宅化」を目指しています。クシナダ機巧は、センサーやカメラを駆使した視覚認識技術を持ち、キビテクはその遠隔操縦技術を有しています。この二つの企業が協力することで、ダイセルの製造設備における日常点検・メンテナンス作業の革新を図ります。

五感点検の強化

製造業における日常点検の重要性は言うまでもありません。化学プラントでは、各種計器の目視確認や回転機器の異常音、振動のチェックが欠かせません。このため、クシナダ機巧は、必要なセンサーを選定し、機械学習を用いて正常と異常の状態を推論するアルゴリズムの設計を行いました。これにより、従来の手作業による点検をより高精度で行えるようになります。

遠隔操作による在宅化

点検業務の在宅化を実現するため、クシナダ機巧とキビテクは、推論アルゴリズムを効率的に活用したシステムの構築に取り組んでいます。具体的には、移動式や固定式の機械装置に各種センサーを搭載し、遠隔地から製造設備の点検や管理が行える仕組みを開発しました。この技術の導入によって、作業者は安全かつ柔軟に業務を遂行でき、障害者や高齢者の社会復帰支援にも寄与することが期待されています。

各企業の役割

ダイセルの歴史とビジョン

株式会社ダイセルは1919年に設立され、化学プラントにおける生産技術の革新に取り組んできた企業です。同社は「価値共創によって人々を幸せにする」という理念のもと、健康や環境に寄与する革新的な素材を提供しています。ダイセルは、今回の取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けたさらなる一歩を踏み出します。

キビテクの技術と理念

キビテクは2011年に東京大学の人型ロボット研究室出身者によって設立されたスタートアップ企業で、知能ロボットや遠隔制御サービスの開発を得意としています。「キビ」という名は心の「機微」を意味し、同社はその技術を通じて人々の心の幸せに貢献することを目指しています。

クシナダ機巧の先進技術

クシナダ機巧は、画像情報や距離情報を活用した視覚認識技術の開発に力を入れており、社会問題の解決を目的に持続的な研究開発を行っています。彼らの先進的な技術が、今後の製造業にどのような影響を与えるか注目されています。

未来への展望

この実証試験が成功すれば、製造業界における点検業務は大きく変わることでしょう。在宅での作業が可能になることで、業務の効率化が図られ、また、安全性が向上することが期待されています。企業、作業者、そして社会全体にとって、より良い未来への礎が築かれるのです。これからも、クシナダ機巧、ダイセル、キビテクの連携の進展に注目が集まります。