はじめに
現代の農業において、環境問題への意識が高まる中、温室効果ガスの削減が求められています。特に、農業分野では農業由来の排出量が注目されており、その削減に向けた新たな取り組みが増加しています。そんな中、日本GAP協会とサグリ株式会社はJGAP認証農場における温室効果ガス排出量の可視化に関する共同研究を開始することを発表しました。
共同研究の背景
日本でも世界的な脱炭素への流れが加速する中で、農業分野における取り組みが不可欠となっています。しかし、実際には生産者が行っている肥料の削減や土壌管理、省エネ活動などの努力が十分に評価されていないのが現実です。この課題を解決するために、農業適正管理の知識と技術を持つ日本GAP協会と、AIを活用した衛星データ解析を行うサグリ株式会社がタッグを組みました。
研究の目的と内容
この共同研究では、以下の二つの柱に基づいてGHG排出量データの標準化と生産者の努力の見える化を目指します。まずは、JGAP認証農場の活動データをサグリの技術と組み合わせ、農場ごとの排出量を可視化します。これにより、農場経営の改善に役立てられる仕組みを構築します。
次に、集められたデータが流通や販売の場で「環境に配慮した農産物」として認識される市場を形成することを目指しています。GHGの排出量だけでなく、炭素貯留量も考慮し、持続可能な経営を支えるための新たな枠組みの確立を図ります。
今後の展開
具体的な実施に向けて、共同研究会を立ち上げる計画です。この研究会ではJGAP認証農場および関係企業の参加を募り、実証実験や算定手法の検討を進めていきます。生産者の努力が公正に評価されることで、より多くの企業が環境価値を安心して調達できる仕組みを構築したいと考えています。
シンポジウムでの発表
共同研究開始に先立ち、2025年のシンポジウム「GAP Japan 2025」にて、研究の構想と方向性について発表します。当日は日本GAP協会の荻野理事が研究趣旨を説明し、サグリ株式会社のCTOが衛星データ技術やGHG排出量可視化の講演も行います。また、様々な専門家の知見もこのシンポジウムで紹介される予定です。参加者はグローバルな視点を持って持続可能な農業の未来について考える機会となるでしょう。
サグリ株式会社について
サグリ株式会社は2018年に設立されたスタートアップで、AIを活用した農業支援技術に特化しています。中でも、農地の管理や作付け調査を支援するアプリサービスを展開しており、持続可能な農業の実現に寄与しています。環境価値の創出に向けた取り組みも評価され、政府からの支援を受けて成長を続けています。
結論
この取り組みは日本の農業において重要な意義を持ちます。生産者の努力が可視化されることで、新しい市場が形成され、持続可能な農業の推進が期待されます。今後の共同研究の展開に注目が集まることでしょう。