2023年2月27日、日本時間で行われたマックスマーラの2025年秋冬コレクションのショーは、言葉では表現しきれない魅力を放ちました。今回のコレクションは、エミリー・ブロンテとシャーロット・ブロンテの作品からインスピレーションを受け、彼女たちが描いたヒロイン像が具現化されていました。
コレクションのテーマは「Untamed Heroine」で、理性と感情の間で葛藤する女性たちの姿を描きます。シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』に登場するヒロインは、自己制御を保ちながらも、内なる情熱が抑えきれなくなる瞬間を持っています。このようなヒロインは、道徳的に受け入れられない選択をすることで、心の自由を追求する姿を想起させます。
マックスマーラでは、伝統的なスタイルにネオゴシックな要素を取り入れ、現代的かつ自然のインスピレーションを受けたファッションを展開しています。例えば、ウエストで引き締められたレディングコートは、裾が広がるデザインとなっており、取り外し可能なキルティングライニングが施されています。このコートは、伝統と革新を融合させた新たなスタイルの象徴です。
また、パンツやスカートもそれぞれ工夫が施されており、ショート丈のジャケットとのバランスも取れています。特に、ウエストバンドがワイドで、膝に向かって柔らかくプリーツが施されたパンツは、動きやすさとエレガンスを兼ね備えています。
夜の装いについても注目が集まります。ドラマティックな黒いベルベットのガウンや、ボーン入りのボディスが登場し、ヒロインの新たな一面を描き出すことに成功しています。このような衣装は、彼女たちが経験する感情の深みを一層引き立てます。
さらに、色彩も特別な意味を持っています。カシャと呼ばれる独自の色名は、ブロンテ姉妹の故郷であるヨークシャーの風景を思い起こさせ、ダブルフェイスのウールやカシミアなどの高級素材が用いられています。柔らかな風合いを持つツイードや光沢感のある生地は、ヒロインの生活を優雅に彩ります。
ブロンテ姉妹の作品は、今なお多くの人々に影響を与え続けており、映像化されることも少なくありません。彼女たちが描く人間の感情は、時代や場所を超えて共感を呼び起こします。今回のマックスマーラのコレクションは、冷静で理性的に生きてきた女性が心の声に耳を傾け、新たな挑戦へと踏み出す姿を映し出しており、多くの観客の心に訴えかけるものとなりました。