自動車先進安全技術の普及と運転者意識
近年、自動車業界では先進安全技術の導入が進んでおり、特に衝突被害軽減ブレーキや全車速ACC(適応型クルーズコントロール)などのASV(Advanced Safety Vehicle)機能の搭載が増えています。国土交通省は、これらの技術が一般の運転者にどのように理解され、受け入れられているのかを把握するために、「令和5年度ASV機能に関する調査」を実施しました。株式会社住商アビーム自動車総合研究所がその結果を分析し、興味深い所見が得られました。
ASV機能の普及状況
調査によると、自家用車に衝突被害軽減ブレーキを搭載していると回答した運転者は全体の約1/3となっており、全車速ACCやレーンキープアシストの搭載者は約1/4でした。この結果から、先進安全技術は一定程度普及していることが伺えます。
利用状況の性別差
ただし、ASV機能の利用状況には男女で顕著な差がみられました。特に全車速ACCの利用率は男性が非常に高いのに対して、女性は消極的な傾向が強く見受けられました。この差は、技術に対する理解度や運転に対する自信とも関連しているのかもしれません。
機能理解度の課題
衝突被害軽減ブレーキについての理解度も課題として浮かび上がりました。警告が鳴った際に運転者自身がブレーキを踏まなければならないことを知っている人は、全体の半数以下であり、特に女性では男性よりも低い結果となりました。また、自動運転ではないため運転者が責任を持つ必要があることは理解されているものの、具体的な機能限界についての認識は低い状況です。
高齢者と運転自信
年代別に見ると、高齢の男性ほど運転への自信が強く、新しい機能への関心も高い傾向があります。一方で、女性は新しい技術に対して不安や苦手意識を持つ人が多いようです。これらの心理的な要因が、ASV搭載車への乗り換え意向にも影響を及ぼしていることが懸念されます。
情報源の違い
先進安全機能に関する情報源も世代や性別によって異なっており、高齢の男性は取扱説明書を参考にしている一方、若年層はネットから情報を集める傾向が強いことが分かりました。女性は「家族や友人の口コミ」を重視することが多いようです。
今後の課題
調査結果からは、ASV機能のさらなる普及のためには、技術のメリットだけでなく機能限界も含めた正しい情報を分かりやすく伝えることが重要であることが示唆されます。また、性別や年代による理解度の差を考慮した効果的なコミュニケーション戦略が求められます。
今後のASVの普及に向けて、運転者にとって最も安全で効果的な利用方法の周知が課題として残されています。
詳細な調査結果やレポートについては、
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