トロデルビの新データ
2025-11-06 14:12:31
転移再発トリプルネガティブ乳がん治療に革新をもたらすトロデルビの新データ
転移再発トリプルネガティブ乳がん治療に革新をもたらすトロデルビの新データ
近年、がん治療における新薬の研究が加速する中で、トロデルビ(R)(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)が転移・再発するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の治療に革新をもたらす可能性があることが示されました。2025年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)と『The New England Journal of Medicine』で発表されたASCENT-03試験の結果により、トロデルビが化学療法と比較して病勢の進行や死亡のリスクを38%も低下させ、有意な成果を上げたことが確認されました。
ASCENT-03試験の概要
ASCENT-03試験は、PD-1/PD-L1阻害剤が適応されないTNBC患者を対象にした第III相試験です。この試験では、患者558名をトロデルビ投与群と化学療法群に無作為に割り当て、それぞれの治療効果を比較しました。これにより、トロデルビ投与群の無増悪生存期間(PFS)は中央値で9.7カ月、化学療法群は6.9カ月と、明らかな違いが確認されました(ハザード比0.62、p<0.0001)。
有効性のデータ
ASCENT-03試験の結果は、トロデルビ投与群での病勢進行や死亡のリスクが顕著に減少したことを示しています。具体的には、トロデルビが化学療法と比べて、病勢進行や死亡リスクを38%低下させました。この結果は、TNBCが定義された20年間でこの患者集団にとって重要な治療の進展を示唆しており、治療選択肢の限られた患者にとって大きな意味を持ちます。
医師のコメント
スペインのInternational Breast Cancer Centerに所属するハビエル・コルテス医師は、トロデルビの重要性について次のように述べています。「転移・再発TNBCの患者は、治療選択肢が限られ、予後不良な状況に直面しています。トロデルビによる治療は、この患者集団の生存期間を有意に延長する可能性があることが示され、重要な進歩といえるでしょう」。
プレシジョン・メディスンの時代へ
トロデルビは、PD-L1の発現にかかわらず全ての転移・再発TNBC患者に対して、化学療法の代替手段として期待されています。また、ASCENT-03試験のデータは、PD-L1陽性の患者を対象としたトロデルビとキイトルーダの併用療法における有意な進展とも関連づけられており、治療選択の幅が広がることを示唆しています。
安全性と副作用について
ASCENT-03試験では、トロデルビの安全性プロファイルは過去の試験と一致しており、新たな安全性シグナルは確認されていませんでした。治療に伴う最も多い副作用は好中球減少症で、治療を受けた患者の43%が経験しましたが、化学療法群よりも少ない割合で治療を中止したケースが報告されています(4%対12%)。
今後の展望
ギリアド・サイエンシズは、ASCENT-03試験の成果を基に、転移・再発TNBCへの新たな治療選択肢としてトロデルビを推進する方針です。今後もさらなる追跡調査と解析が計画されており、全生存期間(OS)に関するデータも引き続き注視されることでしょう。これにより、TNBC患者の予後改善が達成されることが期待されます。
転移・再発トリプルネガティブ乳がんにおける治療の変革が進む中、トロデルビの導入は新たな希望となり、患者の生活の質を向上させる一助となると考えられています。これからの研究成果に目が離せません。
会社情報
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ギリアド・サイエンシズ
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