高出力テラヘルツデバイスの量産技術確立の背景
沖電気工業株式会社(以下、OKI)とNTTイノベーティブデバイス(以下、NTTデバイス)は、このたび新しい高出力テラヘルツデバイスに関する量産技術に関する共同開発に成功しました。テラヘルツ波は、電波と可視光の中間に位置する電磁波であり、次世代の通信技術として期待されています。この技術の確立は、特に6G通信や非破壊検査の分野での応用が見込まれています。
CFB技術による異種材料接合の成果
両社が用いたCFB(Crystal Film Bonding)技術は、InP(インジウムリン)系UTC-PD(単一走行キャリア・フォトダイオード)を、放熱に優れたSiC(シリコンカーバイド)上に接合するというものです。このイノベーションにより、接合歩留まりの向上が達成され、その結果、2026年の量産化が見込まれています。
テラヘルツ波の特性と課題
テラヘルツ波は透過性と直進性を併せ持ち、特に非破壊検査においては生体に優しい特徴を持っています。しかし、この波は大気中での減衰が大きく、高出力なデバイスが必要とされています。そこで、OKIとNTTデバイスは、高出力なテラヘルツデバイスの開発に向け、相互に補完する技術を開発してきました。
サステナビリティを重視した開発
OKIは、CFB技術を適用することで、InP系結晶薄膜を素子レベルで分割し、必要な部分だけを選択的にSiCウエハーに接合しました。これによって、従来の接合方法では90%以上が廃棄されていた使用しない結晶薄膜を有効活用できるようになり、材料コストの低下や環境への配慮にも貢献しています。
量産への道
両社は、今後も共同で製品開発を進めていく方針であり、2025年には技術発表も行う予定です。具体的には、2025年に開催される「30th OECC/PSC 2025」と「COMNEXT」で、この新技術について発表します。これにより、関連分野におけるさらなる技術革新が期待されています。
結論
高出力テラヘルツデバイスの開発は、テクノロジー分野だけでなく、私たちの生活全体に影響を与える可能性があります。OKIとNTTデバイスは、この技術が実用化されることによって、新しい通信手段や高精度な非破壊検査の実現を目指しています。今後も、両社の取り組みに注目が集まります。