高齢者の睡眠改善が介護費用削減に寄与する可能性を探る研究
高齢化社会が進む日本において、ひとり暮らしや高齢者同士の世帯が増加し、社会全体での介護負担が大きな課題となっています。ただでさえ増大する介護費用を何とか抑えなければならない中、大阪大学とNTT PARAVITA株式会社が共同で行った研究の結果が注目を集めています。この研究では、高齢者に対する睡眠データを基にした保健指導が、どのように介護給付費用に影響を与えるかを調査しました。
研究の背景と目的
超高齢社会の日本では、高齢者の健康と安全な生活を送るために、効果的な支援策の構築が求められています。特に、独居や虚弱な高齢者を狙った介入は急務であり、本研究では非装着型センサーを使用して睡眠データを測定し、それを基にした保健指導の効果を評価しました。研究は、2021年から2022年にかけて実施され、104名の高齢者を対象に行われました。
研究の進め方
この研究では、対象者に約3か月間の睡眠データを収集するために、非接触式の睡眠センサー(Active Sleep ANALYZER)が提供されました。介入群には、定期的に睡眠レポートが郵送され、それを基に保健師や看護師による電話フォローアップが行われました。対照群は、睡眠センサー測定結果の報告のみを受けました。これにより、それぞれの群の睡眠状態の比較が可能となりました。
結果の概要
研究の結果、介入を受けた群の睡眠状態が有意に改善されたことが示されました。特に、アテネ不眠尺度による評価では、介入群が統計的に有意な改善を示し(P=0.001)、これは介護給付費の削減に結びつく可能性を示しました。具体的には、介入群の推定介護給付費が平均して4.58万円減少し、対照群では3.95万円増加する結果となり、介入群と対照群の差分から、一人あたり約8.5万円の削減効果が見込まれました。
結論
この研究から、高齢者の睡眠データを活用した保健指導が介護費用の負担軽減へとつながる可能性が浮かび上がりました。実際に介護費用を抑えるための新たなアプローチとして、今後さらなる研究の深化と実践が期待されます。高齢者の健康と生活品質を向上させる施策が、社会全体の持続可能性に寄与することに繋がると考えられます。
お問い合わせ
本研究に関する詳細は、NTT PARAVITA株式会社のマーケティング部までお願いいたします。メール:
[email protected] 残された情報を注意深く捉え、実際の実施には慎重を期す必要があります。