日本初、ネガティブエミッション技術の大規模商用化が始まる

日本初! ネガティブエミッション技術の大規模商用化が始まる



近年、地球温暖化対策が求められる中、カーボンニュートラルを実現するための新技術に注目が集まっています。今回は、日本で初めて「ネガティブエミッション技術」として知られる「BECCS」が、大規模に商用実装されるというニュースをお伝えします。

このプロジェクトは、中国電力株式会社を中心に、住友重機械工業株式会社、東芝エネルギーシステムズ株式会社、日揮グローバル株式会社の4社が共同で取り組むものです。これらの企業は、山口県防府市に位置する防府バイオマス発電所で、CO2の分離、回収、液化、貯蔵、および払出設備を含むCCS(Carbon Capture and Storage)設備の設計・検討を開始しました。

ネガティブエミッション技術とは?


ネガティブエミッション技術とは、実質的に二酸化炭素(CO2)の排出量をマイナスにすることを目的とした技術です。特に「BECCS」技術は、バイオマスを燃焼させた際に発生するCO2を回収して貯蔵することにより、大気中のCO2を削減します。この技術の大規模運用が可能になれば、地球環境にとって大きな転機となるでしょう。

プロジェクトの詳細


今回の設計・検討は、中国電力が独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構から受託した「先進的CCS事業に係る設計作業等」に基づくものです。4社は、2024年2月末までの検討期間中に、2030年度頃を目指してCCS設備の導入を進めていきます。

防府バイオマス発電所では、約45%が石炭、約55%が木質系バイオマスを燃料として使用しています。この発電所で排出されるCO2の80%に相当する50万t-CO2/年を回収可能とし、石炭からのCO2に加え、バイオマスの燃焼によるCO2も対象にします。これにより、実質的にCO2の排出量をマイナスにすることが期待されています。

4社の役割と知見


中国電力は、発電設備の計画や運用に関する専門知識を生かして、全体の取り纏めを行います。住友重機械は、幅広い燃料に適用可能なボイラ技術やCO2分離回収技術に関するノウハウを持ち、プロセス全体の設計を担います。東芝ESSは、バイオマス発電所からのCO2分離回収技術に特化した知識を生かして、設備の設計を行います。また、日揮グローバルはCCS設備の設計・施工において豊富な実績を持ち、その経験をもとに液化・貯蔵・払出設備の検討を進めます。

2050年に向けた目標


4社は、本取り組みを通じて、CO2の分離から液化、貯蔵、さらには輸送までを一貫して行うバリューチェーンを構築し、防府バイオマス発電所における新しい脱炭素化の道筋を描いています。このプロジェクトは、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。

今後の進展に期待が寄せられる中、このプロジェクトが成功すれば、日本のエネルギー業界にとっても大きな影響を与えることは間違いありません。将来的には、全国的にこれらの技術が広まり、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。

会社情報

会社名
日揮ホールディングス株式会社
住所
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA
電話番号
045-682-1111

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